プロ5年目の今季は、積極的な自己変革が功を奏した。昨オフ、尊敬するOBの黒田博樹氏(43)をイメージし、リリース時に左手の位置を高くする投球フォームに変更。今年から2段モーションが緩和されたことも後押しし、「去年よりも自信を持って投げられる」と持ち前のストレートに一層力強さが増した。シーズンに入ってからは、試合3日前から炭水化物の摂取量を増やしてエネルギーを蓄える「カーボ・ローディング」を取り入れるなど、コンディション調整には余念がなかった。
1年間ローテの座を守り続けた右腕は、27試合に先発。途中、7連勝するなど巨人・菅野に並ぶ自己最多15勝をマークした。クオリティースタート(6回以上、自責点3以下)の達成回数は、両リーグトップの21度を記録。抜群の安定感を誇る姿は、まさに赤ヘル軍団の新エースと呼ぶにふさわしかった。
「すごく充実したシーズンだった」と振り返る一方で、自身の成績に満足する様子は一切ない。「投手陣の柱になれた? まだ全然です。来年も継続して良い成績を残して、柱と言ってもらえるように頑張らないといけない」と前を向く背番号14にとって、来季へさらに弾みがつく報知プロスポーツ大賞初受賞となった。
◆大瀬良大地(おおせら・だいち) 1991年6月17日、長崎・大村市生まれ。27歳。小学4年時に鹿児島・国分西スポーツ少年団で野球を始め、小5から投手。中学時代は軟式野球部に所属。長崎日大高では3年夏に甲子園に出場。九州共立大を経て、13年ドラフト1位で広島入り。今季は15勝をマークし、リーグ最多勝と最高勝率に輝いた。187センチ、93キロ。右投右打。来季年俸は1億4500万円。