山中がついに“大台”に到達した。都内の所属ジムで吉報を伝えられ、「ボクサーとしての評価が先輩方と並んだとは思わない。ただ、自分がこの位置まで来たことは誇りを持っていいと思う」と殊勝に語った。
4年連続受賞は、元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高(1977~80年)と、元WBA・WBC世界スーパーフライ級王者・渡辺二郎(82~85年)に続く快挙だ。今年は賞の重みをより厳粛に受け止めている。
「神の左」と呼ばれる、鋭い左ストレートは今年も健在だった。4月の8度目の防衛戦でサンティリャン(アルゼンチン)を7回KOで沈め、9月のV9戦では元世界王者モレノ(パナマ)と大接戦の末に判定勝利を収めた。「自分の左を当てられず、苦しかった。終盤からは技術よりも気持ちで勝ちたいと必死になれた」。待望だった難敵に競り勝ち、ベルトとかつてない充実感が残った。
常連の山中は「また、新しい顔ぶれと会えるのは楽しみ」と他のアスリートたちと触れ合える4度目の表彰式を心待ちにする。古びて、味わいが出てきたチャンピオンベルトを土産に、今年も晴れの舞台に立つ。
◆山中慎介(やまなか・しんすけ) 1982年10月11日、滋賀・湖南市生まれ。33歳。南京都高(現・京都広学館高)1年でボクシングを始め、3年時に国体優勝。専大を経て、06年1月にプロデビュー。10年6月、日本バンタム級王座を奪取(初防衛後に返上)。11年11月にWBC世界バンタム級王座を獲得し、今年9月までに9度連続防衛中。戦績は24勝(17KO)2分け。身長171センチの左ボクサーパンチャー。家族は夫人と1男1女。血液型B。