会場に到着すると、おずおずと近づいてきた高見盛に「よろしくお願いします」と大きな体を折ってあいさつされた。徳山にはプロの先輩としてゲキを飛ばした。阪神ファンで、これまで何度も顔を合わせている徳山が「来春3日にはタイトルマッチがあります。新年早々負けると、その年1年が暗くなりますから、何としても勝ちたいです」と言うと「勝ちたいんやなくて、何が何でも勝たないかん」。強烈なハッパに世界チャンプの背筋がピーンと伸びた。
石黒尭・読売新聞東京本社取締役事業局長から、トロフィーを受けとった後の受賞のあいさつでは「あまり表彰されたことがない男ですが、今年は選手、ファンのお陰でたくさん表彰され、いい1年でした」と話した。星野SDだけではない。どの顔も誇りと自信に満ちあふれていたのは、今年が受賞者にとって最高の1年になったからだ。
「来年もダイエーの選手が呼ばれるように頑張る」と城島が言えば、今岡は「100点満点に近いシーズン」と今季を振り返った。不動は「来年は、今年の活躍に近づけるように頑張りたい」と抱負。特別賞の西村は「今思えば、最後の一投がストライクでよかった。みなさんにお会いすることができましたから」と感激の表情を見せた。日本全体を覆う暗いムードを吹き飛ばした受賞者たちの活躍。2003年を代表するプロアスリートたちの顔は、最後まで光り輝いていた。
◆星野仙一(ほしの・せんいち) 1947年1月22日、岡山・倉敷市生まれ。56歳。倉敷商から明大を経て、68年のドラフト1位指名で中日に入団。82年に現役を引退するまで通算500試合に登板。146勝121敗34セーブ。87年に中日の監督に就任し、88年にリーグ優勝。96年から2度目の中日監督の座に就き、99年にリーグV。2001年限りで勇退したが、その年で辞任した野村監督の後を受けて、阪神監督に就任。今年、チームを18年ぶりのリーグ優勝に導いたが、電撃退団した。