華々しい壇上で堂々と所信表明を行った。キャッチャーとしては、パ・リーグ初の報知プロスポーツ大賞の受賞。「大先輩方が苦労話ばかりするから、みんなが捕手を目指したがらない。ボソボソと言いたいことも言えないのでなく、これからはキャッチャーも明るくいきたい」と、日本一の司令塔が笑顔を振りまくと、会場に大きな拍手がわき起こった。
野球少年があこがれるような存在になりたい。グラウンドに立つ上で、常に抱いてきたポリシーだ。その思いを今年は十分に表現することができた。1963年の南海・野村以来の40年ぶりのフルイニングマスクを達成すると、同じく南海・野村に次ぐ史上2人目の捕手の打率3割、30本、100打点も成し遂げた。そして、ユーモアたっぷりのヒーローインタビューで、ファンのハートをキャッチした。チームを日本一に導き、MVPの受賞も当然のものだった。
今回の受賞もファンに支えられてのものだけに、喜びもなおさらだという。「王監督にしかられるたびに、『キャッチャーなんかやめてやる』と思いましたが、こういう賞を受賞できてキャッチャーをやってきて本当に良かったと思う」と感慨深げだ。
違う世界で活躍する同級生の存在にも大きな刺激を受けた。「不動裕理が同じ年だとは思わなかった。もっと若いと思っていたけど、きょう話して初めて知りました。シャンクの直し方を教えてもらいましたよ。高見盛には相撲の世界の厳しさを教わった」と目を輝かせながら振り返った。
27日の契約更改でも、捕手として歴代最高となる年俸4億円(今季は2億円)を手にするのは確実。「来年もぜひ、日本一になって、この会場に呼ばれるようにしたい」タカの顔から日本プロ野球界の顔へ。今回の受賞がひとつのステップとなりそうだ。
◆城島健司(じょうじま・けんじ) 1976年6月8日、長崎県生まれ。27歳。別府大付属高から94年ドラフト1位でダイエー入団。入団3年目の97年からレギュラーに定着。99年から5年連続でゴールデングラブ賞を受賞。今季は初のリーグMVPにも輝いた。182センチ、90キロ。右投右打。家族は真紀夫人(26)と1男1女。