今季Jリーグの主役の一人だった。昨季26得点で初の得点王。今季も開幕から得点を奪い続け、ブラジルW杯にサプライズ選出された。「W杯は(南アフリカ大会に続き)2度目だけどやっぱり特別。いい経験だった」。1次リーグ敗退ながら代表でプレーする幸せを改めて感じた。
一方で、W杯後は『燃え尽き症候群』かと思うほど体が動かない時期も味わった。シーズン終盤には中耳炎で約1か月右耳が聞こえずピッチに立っていた。残留選択も他クラブのオファーで心が揺れたこともあった。「人生で一番疲れた1年だった」。ジェットコースターのようにめまぐるしい2014年だった。
来年も得点王だ 最終節の神戸戦で第3中手骨を骨折し、全治4週間の見込みと診断された。それでも「ダサいから」とこの日はギプスなどをつけず、腫れ上がった手でステージに立った。「もっともっと努力して、来年もここに立てるように頑張りたい。3年連続になればいいね」。視界は早くも史上初の3年連続得点王をとらえている。
前回受賞したC大阪時代の03年は翌日に天皇杯準決勝があり、プロスポーツ大賞の表彰式は欠席。「今回はいろいろなスポーツ選手と会うのが楽しみ」。日本中を沸かせた32歳が、晴れ舞台に花を添える。
◆大久保嘉人(おおくぼ・よしと) 1982年6月9日、福岡・苅田町出身。32歳。小学1年からサッカーを始める。長崎・国見高時代インターハイ、国体、選手権3冠達成。01年C大阪入団。マジョルカ(スペイン)、C大阪、神戸、ヴォルフスブルク(ドイツ)、神戸を経て13年から川崎所属。J1通算306試合133得点。代表通算60試合6得点。家族は妻と3男。170センチ、73キロ。