「ゴッドレフト(神の左)」と称される、破壊力抜群の左ストレートは今年もキレキレだった。4月の6度目の防衛戦では大阪城ホールという念願の大舞台で、挑戦者のシュテファーヌ・ジャモエ(ベルギー)から4度のダウンを奪う猛攻で9回TKO勝ち。10月のV7戦は元世界王者のスリヤン・ソールンビサイ(タイ)を判定決着ながら3度も倒した。
すべてのダウンは自慢の左で奪った。「2試合とも勝負が長引いてしまい、決して納得が行く内容ではなかった。スリヤン戦で連続KO防衛が『5』で止まってしまったけど、これもいい経験」。前向きに考えられるあたりは王者の余裕か。
V6戦直前の3月18日に、第2子となる長女・梨理乃(りりの)ちゃん(8か月)が誕生し、家族が増えた。「家族の存在が支えになっている」と、数々の栄光は自分一人のものだとは思っていない。
過去2度の表彰式では「各界のトップ選手たちもチャンピオンベルトを珍しがってくれた」と振り返り、「受賞者の方々の反応を見るのが楽しみ」と今年も自慢の宝物を携えていく。「ボクサーはこいつのために戦うんですから」と肩に乗せたベルトとともに来年も走り続ける。
◆山中慎介(やまなか・しんすけ) 1982年10月11日、滋賀・湖南市生まれ。32歳。南京都高(現京都広学館高)1年でボクシングを始め、3年時に国体優勝。専大を経て、06年1月にプロデビュー。10年6月、日本バンタム級王座を奪取(初防衛後に返上)。11年11月にWBC世界バンタム級王座を獲得し、今年10月までに7度連続防衛中。戦績は22勝(16KO)2分け。身長171センチの左ボクサーファイター。家族は夫人と1男1女。血液型B。