常夏の島には、もう一つの朗報も届いた。8日のIOC臨時総会での決定を受け、2020年東京五輪での野球・ソフトボール復活に大きく前進。08年の北京五輪を最後に正式種目から除外されていただけに、菅野にとって新たな目標ができた。「6年後は31歳。出られたらいいですし、出られるように頑張っていきたい」と声を弾ませた。
東海大時代から大学日本代表のエースとして活躍。開幕前には千葉でバリ島在住の少年少女に野球教室を実施。「野球は世界であまり知られていない。その結果、五輪から外れてしまった。復活させるという目標があるので、少しでも力になりたい」と決意を語っていた。
2年目の今季は、初めて開幕投手を務め、6連勝スタート。8月に右手中指を痛めて1か月離脱、10月に右肘を痛めてCS最終Sを欠場したが、先発の柱としてフル回転してチームトップの12勝を挙げた。「まだまだ満足していません」と言うが、2位に大差をつけたMVP同様、報知プロスポーツ大賞も文句なしの受賞だった。
来季に向け、すでに動き出している。3日から米アリゾナで宮国と自主トレを開始。ジムでは今季、ヤンキース、ナショナルズで計64試合に登板したワンポイント左腕・ソーントンと遭遇。現役大リーガーと同じ環境で体幹を徹底的に鍛えた。先日ハワイに移動。「自主トレは順調に来ています」と温暖な異国の地で、充実した日々を送っている。
原監督からは以前、同席したイベントで「次のWBC(17年)でエースになる覚悟でやるでしょう。そして、東京五輪で野球が復活すると思う。その舞台で大いに戦ってほしい」と直々に激励され、「世界で活躍できるように頑張っていきたいです」と意気込んでいた。侍ジャパンのエースとして、悲願の金メダル獲得―。夢を力に変えて高みを目指す。
◆菅野智之(すがの・ともゆき) 1989年10月11日、神奈川・相模原市生まれ。25歳。東海大相模高、東海大、1年の浪人生活を経て2012年ドラフト1位で巨人に入団。2年目の今年は初の開幕投手を務め、12勝5敗、防御率2・33で最優秀防御率を獲得。リーグMVP、ベストナインを受賞。通算50登板、25勝11敗、防御率2・74。185センチ、88キロ。右投右打。来季年俸は1億1000万円。