22歳のエースは、華やかな舞台でも冷静だった。最多奪三振こそ獲得したが、球数を少なく長いイニングを投げるのがスタイル。奪三振のタイトルは、12球団最多の215回2/3を投げた副産物というのが本人の考えだ。
しかし、最多勝、最優秀防御率には「この2つは自分の力だし、数字として出る。あとの賞も取りたいが、選んでいただくもの」。今季の15勝(8敗)、防御率2・21では満足せず、すでに防御率1点台を公言。さらなる発奮材料として18勝を新たに加えた。
初の授賞式では、ゴルフの石川遼、大相撲の白鵬らと初めて対面。同じテーブルで会食し「こういう機会がないんで刺激になります。遼君? 日本人のトップなんで雰囲気を感じますね」と3歳下のオーラに感心しきりだった。
多忙なオフも、この授賞式で一区切り。「違う意味でしんどいけど、今年はいい経験させてもらっている」と笑い飛ばした。年内は休養に努め、年明けから本格始動する。来季も不動のエースとして、リーグの主役を務める。
◆前田健太(まえだ・けんた) 1988年4月11日、大阪・忠岡町生まれ。22歳。東忠岡小3年の時「岸和田イーグレッツ」で野球を始める。忠岡中ではボーイズリーグ「忠岡ボーイズ」に所属。PL学園では1年夏、3年春に甲子園出場。2006年高校生ドラフト1巡目で広島に入団。通算成績は76試合で32勝24敗、防御率2・85。今季年俸4800万円。182センチ、71キロ。右投右打。独身。