サッカーの主役はいなかった。前日の韓国戦で右足首を負傷した俊輔に代わり、Jリーグ・佐々木一樹事務局長が表彰を受けた。俊輔は21日、横浜市内の病院で精密検査を行い「右足関節外側じん帯損傷、全治3~5週間」の診断を受けた。「鹿島ともう一度、戦いたかった。でも、試合では絶対に手を抜きたくないから、けがはしようがない」と苦笑いしながら話した。
生涯初という松葉づえ。「昨日(20日)の夜は足首が大きくはれた。今も痛みがすごくある」と、表彰式には出席することができなかった。「とても残念です。来年、また賞をもらえるように頑張ります」とJリーグMVPと合わせ、2冠に輝いた今年以上の飛躍を誓った。 天皇杯準々決勝(23日)は、Jリーグ・チャンピオンシップ第2戦(9日)で、歴史的な大敗を喫した鹿島戦。今年中にリベンジするチャンスを逸したが、横浜が新シーズンを始動させる来年2月には、完全復帰できる。
2月中旬に強化合宿が予定されている日本代表の活動にも支障はない。早速、22日からリハビリを開始する。「今年は五輪代表でもフル代表でもたくさん試合に出られた。例えばアジア杯の途中で故障して決勝トーナメントに出られなくなることより、ずっとまし」と俊輔は前向きに話した。
大きな飛躍を見せた天才レフティーの2000年は、最後の最後で、わずかな悔恨を残して終わった。
しかし、向上心の塊の俊輔にとって、その悔しさこそが、新世紀、さらなる飛躍の“種”になる。
◆中村 俊輔(なかむら・しゅんすけ) 1978年6月24日、横浜市生まれ。22歳。桐光学園高時代の96年度、高校選手権で準優勝。97年、横浜入団。同年、世界ユース、2000年シドニー五輪でともにベスト8。今季Jリーグでは30試合にフル出場し、5得点。Jリーグ通算成績は116試合出場、26得点。代表Aマッチ通算成績は15試合出場3得点。178センチ、66キロ。