自慢のフルスイングでファンを魅了。「ホームランは狙ってしか打てません。自分にとってヒットの延長がホームランではなく、ホームランの打ち損ないがヒットなんです」独自の打撃理論で積み重ねた39本塁打、110打点。自身初のタイトルを手中にし、堂々の2冠王に輝いた。
過去に経験したことがなかった感動も味わった。シドニー五輪では全日本の4番を務め、メダルを逃した瞬間には涙が止まらなかった。「悔し涙ではなく、満足感から自然と涙が出た」という。
最高のシーズンを終えたはずだが、その表情は早くも引き締まった。「個人的にはまずまずの成績が残せましたが、チームは最下位。来年こそはという気持ちです」と近鉄の一員としてリベンジも誓った。(上村 尚也)
◆中村 紀洋(なかむら・のりひろ) 1973年7月24日、大阪府生まれ。27歳。渋谷高から91年ドラフト4位で近鉄入り。今季は本塁打と打点の2冠、パ・リーグを代表する打者に成長。シドニー五輪代表の4番も務めた。180センチ、78キロ。右投右打。家族は浩子夫人(29)と2女。