年間通して見せた圧倒的な投球が野球ファンの心を打った。菅野が3年ぶり2度目の報知プロスポーツ大賞に輝いた。最多勝、最優秀防御率、沢村賞、ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞、最優秀バッテリー賞、東京ドームMVP賞に続きこれで「8冠」だ。この賞は読者投票をもとに決まるが、セ優勝のカープ勢を上回る多くの票が集まった。
「投票してもらったファンの皆様に感謝したいです。今年1年戦うことができたのは自分だけの力でなく、サポートしてくれるトレーナーさんだったり、裏方さんの力があってこそだと思っています。支えてくれた方に感謝したいです」
今回、特に喜んだのが男子ゴルフ・松山との同時受賞となったことだ。13勝を挙げたプロ1年目のオフ、14年正月のスポーツ報知対談で初対面。趣味のゴルフをスコア70台で回る腕前の菅野は当時、技術論や2年目のジンクスについて語り合って意気投合。以来、連絡を取り合う仲だ。今年8月、松山が全米プロ選手権でメジャー初制覇目前の5位となった大会も、テレビ越しに応援していた。
「個人的には松山くんと一緒に受賞できることがうれしいです。競技は違いますが、世界の舞台で活躍する松山くんは同じ日本人として誇りに思いますし、いつも刺激を受けています」
菅野も今年は3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンのエースとして大活躍した。小雨交じりの米・ロサンゼルスで行われた準決勝・アメリカ戦に先発。惜敗したが、大リーガーがズラリと並ぶ超強力打線相手に6回3安打1失点(自責0)と快投し、全米を驚かせた。松山との初対面から約4年。ともに世界クラスの超一流選手に成長し、表彰式で再会を果たす。
「今年はWBCに出場してさらなる高みを見ることができましたし、もっともっと上を目指したいという気持ちになりました。松山くんに会うのは久しぶりなので楽しみにしています。いろいろ話したいですね」
今オフは表彰式やイベントで多忙だが、計画的にキャッチボールやランニングなどで体を動かしている。さらなる飛躍を目指す菅野にとって、異業種交流は大きな活力になりそうだ。
◆菅野智之(すがの・ともゆき) 1989年10月11日、神奈川・相模原市生まれ。28歳。東海大相模高、東海大を経て2012年ドラフト1位で巨人入団。13年日本シリーズ第6戦でシーズン24勝無敗の楽天・田中(現ヤンキース)に投げ勝つ。これまでMVP1回、最優秀防御率3回、最多勝1回、最多奪三振1回、ベストナイン2回、ゴールデン・グラブ賞2回。プロ5年間通算126登板、61勝33敗、防御率2・18。186センチ、92キロ。右投右打。来季年俸は推定4億5000万円。