2年ぶりの吉報はチームの優勝旅行先、米ハワイに届いた。大谷は報知プロスポーツ大賞を受賞し、表情を緩めて言葉をつないだ。
「数多くの素晴らしい選手の中から自分を選んでいただいて、光栄に思っています。MVPもそうですけど、この賞もチームが日本一になれたおかげかなと。ファンの方々の期待以上の活躍ができるように頑張ります」
4年目の今季は投手で日本最速165キロを投げ、10勝4敗、防御率1・86。打撃では打率3割2分2厘、104安打、22本塁打、67打点とキャリアハイを更新した。自身初の日本一へ“満点”の働きに見えるが、自己採点は「60点」と厳しかった。
「最高の形で終われましたが、もっとやらないといけないことがある。投手ではシーズン序盤で勝てず、夏場に投げられない期間があった。期待してもらった中で働きをできていなかった」
2月の春季キャンプ中、栗山監督へ宛てた手紙には「日本一」「20勝」「20本塁打」と公約を掲げたが、勝ち星(10勝)だけは公約を果たせなかった。
「今年の経験は必ず生きてくると思います。これを来年以降にどう成長へつなげるか。自分を伸ばすには、そこしかない」
来季への戦いは、もう始まっている。2大会ぶりの世界一がかかった3月のWBCでは二刀流でのフル回転が期待される。さらなる進化へ、12月中にはレンジャーズ・ダルビッシュ、阪神・藤浪らと“合同トレ”を行う予定だ。
「このオフは本当に時間がない。3月に試合があるのは初めて。どうなるか自分でも分からないが、3月にベストに持っていけるようにしたい」
最大の目標は「世界一の野球選手」。21日に都内のホテルで行われる報知プロスポーツ大賞の表彰式では他競技の一流選手と対面する。世界で勝つ思考法やトレーニング法などを貪欲に吸収するつもりだ。
「いろんなアスリートの方々とお会いするのが楽しみです。責任と自覚を持って、これからも頑張っていきたい」
日本球界の常識を覆してきた22歳。来オフにもポスティングでのメジャー挑戦となる。2017年は世界を席巻する。
◆大谷翔平(おおたに・しょうへい) 1994年7月5日、岩手・水沢市(現奥州市)生まれ。22歳。花巻東高で2年夏、3年春に甲子園出場。3年夏の県大会準決勝で高校生初の160キロを計測も決勝で敗退。2012年ドラフト1位で日本ハムに入団した。15年に最多勝、最優秀防御率、最高勝率の3冠に輝き、今季はMVPを獲得。193センチ、92キロ。右投左打。独身。来季年俸2億7000万円。