大ベテランがまた一つ勲章を手にした。報知プロスポーツ大賞受賞の一報に、新井の表情が緩んだ。「とにかくチームの力になりたいと思って、1年間やってきました。来シーズンは最高のチームメートと共に日本一へ向かってまい進したいと思います」と喜んだ。
記録にも、記憶にも残る一年だった。4月26日ヤクルト戦(神宮)で通算2000安打、8月2日ヤクルト戦(同)では通算300本塁打を達成した。2000安打&300本塁打の達成は史上25人目の偉業。「やっている時は数字には全くこだわってやっていなかったけど、改めて客観的に振り返ると、すごいよね。自分の事のようには思えない」。“神ってる”のは鈴木だけじゃない。新井の働きも“神”級だった。
チーム最多の67試合で4番で先発出場し、無類の勝負強さを見せた。7月18日の中日戦(マツダ)で8年ぶりのサヨナラ弾。4連敗して2位・巨人に4・5ゲーム差に迫られていた8月7日の巨人戦(マツダ)では、9回にサヨナラ二塁打。今季のベストゲームといえる一戦での殊勲打で、チームを25年ぶりの優勝へと加速させた。今回の大賞受賞も文句なしだ。
打率3割、19本塁打、101打点でリーグ史上最年長MVPを獲得。40歳を前にしてキャリアハイ級の成績を残した。来季も当然、主軸としての期待がかかる。「新井さんゆっくりしててくださいよ、という若手が出てきてほしいね」と言いつつも「当然、まだまだ負けない気持ちは持っているよ」とニヤリ。V2へ、日本一へ、不惑を迎えるベテランの存在感に陰りはない。
◆新井貴浩(あらい・たかひろ) 1977年1月30日、広島県生まれ。39歳。広島工高から駒大を経て98年ドラフト6位で広島入り。05年に本塁打王。08年に阪神にFA移籍。11年に打点王。14年オフ、阪神に自由契約を申し入れて広島復帰。今季リーグ史上最年長MVP。189センチ、96キロ。右投右打。今季年俸6000万円。