受賞にも、驚きはない。最高の成績を残した自負がある。だから、阿部は冷静だった。07年以来の報知プロスポーツ大賞に「とても光栄です。他のスポーツ界のそうそうたる方々と同じ舞台に立てる。それだけでもうれしいこと」と頭を下げた。
初受賞の07年は101打点をマークし、チームも5年ぶりのリーグ制覇。今年は「101打点を何とかクリアしたい」と目標を掲げ104打点をマークした。捕手史上最高の打率3割4分を記録し、2冠王に輝き「十分すぎる数字。これ以上はない」と胸を張った。
今月14日、原監督とダブルで「正力松太郎賞」を受賞した。球界でも最高の栄誉と言われる賞をもらった夜、父・東司さん(57)から電話があった。受話器の向こうで泣いていた。「お前は本当にすごいな!」。慎之助も思わず感極まった。だから「今年は他にどんな名誉な賞をいただいても、もう驚かないよ」と振り返っていた。
度重なるけがは、トレーナー陣が治療した。悠夫人は3人の子供の育児に励みながら支えた。「みんなで獲得したものだと思う。俺一人の賞ではないよ」と感謝の言葉を並べた。
◆阿部慎之助(あべ・しんのすけ) 1979年3月20日、千葉県生まれ。33歳。東京・安田学園高から中大を経て2000年ドラフト1位で巨人入団。1年目から正捕手を務め、07年から主将に就任。180センチ、97キロ。右投左打。