マイクを握る手に力を込めた。小笠原はきっぱりと言い切った。「来年は世界一、アジア一、日本一を目指して頑張っていきたいと思います」力強い3冠宣言に、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
プロスポーツ界の今年の“顔”が並ぶ晴れの舞台で決意を新たにした。これまでWBCについては多くを語らなかったが、この日、正式に日本代表候補として発表されたこともあり、日の丸にかける熱い思いを吐露した。「とても責任あること。徐々に気持ちを高ぶらせていきたい」目標はひとつ。「世界一」と誓った。隣に並ぶ岩隈とともに、その目は闘志に満ちあふれていた。
数日前、原監督から直筆の手紙が届いた。2大会連続の世界制覇にかける指揮官の言葉に胸を打たれた。「改めて身の引き締まる思いになりました」誇りとあこがれの気持ちを持って、日本代表として戦うことを心に決めた。
勝利の2文字しか見えていない。4番候補に名前が挙がっているが、打順へのこだわりは捨てている。「プライドも大事だけど、勝つことが大事。打順は関係ない。与えられたところで100%のパフォーマンスを発揮できるように頑張りたい」代表候補には若い選手が多く、チームリーダーとしても期待がかかる。「みんなでいいチームを作っていかないといけない」と気を引き締めた。
16日からV旅行で訪れるハワイで“始動”する。体重の現状維持を目標に軽く体を動かす予定。「12月はサビ落としで、本格始動は1月から。そろそろ動かしていかないと間に合わないのでね」まずは2月25日に発表される日本代表メンバーに残ることを目標に、そして3月のWBCを最高の状態で迎えられるように、逆算していく。
世界一の称号を手みやげにシーズンに突入する。悲願の日本一奪回、そしてアジアシリーズ制覇へ。1年後、再び報知プロスポーツ大賞表彰式で3冠達成を報告する。
◆小笠原道大(おがさわら・みちひろ) 1973年10月25日、千葉市生まれ。35歳。暁星国際高からNTT関東を経て、96年ドラフト3位で日本ハムに入団。02、03年に首位打者を獲得し、06年は打点、本塁打の2冠王。07年、巨人にFA移籍してV奪回に貢献。通算成績は1443試合で打率3割1分8厘、306本塁打、914打点。178センチ、84キロ。右投左打。家族は妻と2女。