大相撲の横綱・朝青龍に比べると、体重は約3分の1しかないが、存在感は大きかった。プロスポーツ界のトップスターが勢ぞろいした壇上で、藍が一際、輝いた。「こんなにたくさんの方々に祝ってもらってびっくりです」ほおを紅潮させながら話した。
普段のトーナメントでは、専属スタイリストが着用ウエアを選んでいるが、この日は、自腹で自らのセンスで購入した“勝負服”を披露した。日韓女子プロ対抗戦(4―5日、滋賀・大津CC)の開幕2日前、大津市内のデパートに出向いた。プロアマ戦のパーティーなどではパンツルックが多いが、この日は珍しくスカート姿。「報知プロスポーツ大賞の表彰式のために買ったんです」約20万円の大きな買い物だった。「本当に女性らしくなりましたね」と話す司会者に「へへへ、ありがとうございます」と照れながら話した。
日本プロスポーツ史上、初めて10代で年間賞金1億円を突破。ゴルフ界の枠を超えたスーパーヒロインとなった。“藍ちゃん効果”は目に見える数字となって表れた。この日、発表された来季の国内女子ツアー日程で、レギュラーツアーは2つ増え33試合に、賞金総額は過去最高の22億1000万円となった。開幕戦のダイキンオーキッド(3月4―6日、沖縄・琉球GC)は、賞金総額が6000万円から33%アップの8000万円に。「うれしいですね。頑張っちゃいますよ。来年も今年のようにいいスタートを切りたい」前年王者として迎える05年初戦に意欲を示した。
控室では朝青龍と会話が弾んだ。「(横峯)さくらちゃんは高校(高知・明徳義塾)の後輩なんだ。来年はさくらちゃんにも、ここに来て欲しいけど強力なライバルがいるなあ」と冗談交じりに話す横綱に対し「いやー、さくらは本当に強いですよ」と笑顔で返した。
「来年は海外の試合でも結果を残したいです」と視線は日本から世界に広がる。宮里藍。今年の主役だった。来年も主役になる。
◆宮里 藍(みやざと・あい) 1985年6月19日、沖縄・東村生まれ。19歳。ティーチングプロの父・優さん(58)の影響で4歳からゴルフを始める。ゴルフ留学で宮城・東北高に進学。同高3年時の昨年9月のミヤギテレビ杯ダンロップで、73年の清元登子以来史上2人目のアマチュア優勝。同年10月にプロ転向を宣言した。今季は5勝し、賞金ランク2位。家族は父・優さん、母・豊子さん(53)、男子プロゴルファーの長兄・聖志(27)、次兄・優作(24)。154センチ、53キロ。