受賞して新たなモチベーションがわき上がってきた。会場に向かう際には「3冠王を取って、次に何を目標にしたらいいのか。何か探さないといけないですね」と、打者として究極の目標を達成した後の空虚感を訴えていた。しかし、他のスポーツの第一人者との触れ合いは、来季へ向けた大きな刺激となった。
導き出した答は「自分への挑戦」だ。「(3冠王の肩書は)一生、ついてくるものだと思うから、プレッシャーにはなりますが、励みになります。ダメなときは叩かれるだろうし、頑張らないといけない」と自らを奮い立たせた。
プレーオフ直後に、急性肝炎で約3週間の入院生活を送ったが、12月に入ってトレーニングを再開。順調に回復している。「来年こそはシーズン1位、日本一なって、またこの賞を頂けるよう頑張りたい」華やかな舞台で誓ったスラッガーが、新生ホークスを引っ張るためのエネルギーを蓄えた。
◆松中信彦(まつなか・のぶひこ) 1973年12月26日、熊本生まれ。30歳。八代一高から新日鉄君津に進み、96年のアトランタ五輪に4番として出場。96年のドラフト2位でダイエー入り。99年からレギュラーに定着し、00年にパ・リーグMVPを獲得。03年には打点王に輝いた。今季は、打率3割5分8厘、44本塁打、120打点で打撃3部門のタイトルを獲得。昨オフに3年総額10億5000万円の複数年契約を結んだ。183センチ、96キロ。左投左打。家族は恵子夫人(31)と大輝くん(3つ)。