◆2006年W杯必ずピッチに
緊張しながらも、自信の笑顔がはじけた。史上最年少のJリーグ得点王が「2002報知プロスポーツ大賞」を受賞。「1年間、自分が納得いくプレーをして、こうやって選ばれたということで、非常にうれしいです」23歳の若きストライカーの口元が自然と緩んだ。 今季Jリーグ27試合26得点。7月20日のF東京戦(東京)からは7試合連続ゴールをマークした。JリーグのMVPに続くビッグな勲章。「1年間通してできたことはいい経験だし、成長できた」と本人も納得のシーズンだった。
そんな高原がやり残したことがある。6月に突然、肺動脈血栓塞(そく)栓症にかかり、日韓共催W杯出場を棒に振った。移籍先のHSVは2006年にW杯が開催されるドイツのチーム。それだけに「今年のW杯は出場できなかったんで、今度のドイツ大会ではぜひ自分がピッチに立ちたい」視線の先に、4年後の晴れ舞台に立つ自分の姿をとらえている。
新天地でも変わらぬ強さを見せつける。高原は「抱負? 自分のスタイルを崩さないこと」とキッパリ。続けて「環境が変わっていろんな問題があるかもしれないですけど、どこへ行っても自信を持ってやりたい」。スピード、パワー、テクニックのすべてを兼ね備えたストライカーをドイツでも証明してみせる。
野球、サッカーと競技こそ違うが、同じく米大リーグに挑戦する松井秀喜からは「(ドイツでも)高原君なりのプレーをしてくれるだろうし、僕も米国から応援しています」というエールを受けた。
高原は、この日で移籍前の取材依頼をすべて打ち切り。日本で最後の表彰式となった。「アルゼンチンから休まずきたんで、今、少しですけど、ちゃんとゆっくりしたい」しっかりと休養し、後半戦開幕のハノーバー96戦(1月25日)に向けて高原は再び牙をむく。
[タカに聞く]
◆ドイツ語は全然…英語でコミュニケーション
―今の気分は?
「自分がこういう場(表彰式)にいて、いいのかなと思うんですけど、非常に緊張しますね」
―ピッチの上の方がいいですか?
「ピッチの方が自然体でいられます」
―今季を振り返って?
「1年間通して自分のやろうとしていたプレーが出せたと思うし、1年通してできたことはいい経験。成長できた」
―12月上旬にHSVの練習に参加しましたが?
「チームメートとも会ってきていろいろな施設も見てきました」
―言葉は?
「基本的にはドイツ語なんですけど、英語が通じるので、なんとか英語でコミュニケーションを取りたいです。ドイツ語は僕は全然わからないです」
―磐田のチームメートには、あいさつを済ませたのか?
「一応、あいさつしました。アルゼンチン(ボカ・ジュニアーズ)へ行ったときは急だったんで、何もあいさつせずに行きましたが…」
―いつ出発?
「(来年1月)4日に(練習が)始まるので、それに間に合うように日本をたちたいと思う」
◆高原 直泰(たかはら・なおひろ) 1979年6月4日、静岡県三島市生まれ。23歳。98年に清水東高からジュビロ磐田入り。同年3月21日の京都戦(磐田)でJリーグデビュー&初ゴール。2001年8月からボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)に移籍したが、チームの経営危機で今年2月に磐田に復帰した。181センチ、75キロ。血液型B。