【2002年】野球(セ・リーグ) 松井 秀喜

来季海外へ進出する松井(右)と高原が笑顔でエール 来季海外へ進出する松井(右)と高原が笑顔でエール
 米大リーグ、ヤンキース入りが決まった松井秀喜外野手(28)が27日、東京・丸の内の東京銀行協会ビル内で行われた報知プロスポーツ大賞の表彰式に出席。特別功労賞を受賞したプロゴルファーの青木功(60)から「英語習得術」を伝授された。「言いたいこと言えばいい。ビビっちゃダメ」という「世界のAOKI」のアドバイスに笑顔で耳を傾けた。これで今年の公式行事はすべて終了。各スポーツ界の受賞者からエールを送られ「忘れられない1年でした」と感慨深げに語っ 表彰式前の控室。松井が、同席した青木に切り出した。「青木流の英語習得術を教えて下さい」シニアを合わせると海外で13勝を挙げている世界の「AOKI」は、生きた教材だった。聞かない手はない。背筋を伸ばしてゴジラがお願いした。

 以下、隣にいた中嶋を交えた会話を再現してみると…。

 青木「何にもねえ。考え過ぎないことだよ」

 中嶋「この人は何も考えていないから」

 青木「いいたいこといえばいい。ビビっちゃダメ。ゴルフだってそう。しゃべって分かんなかったら、日本語で言えばいい。それで相手が“I don’t know”(分からない)って言ったら“me、too”(私も)って言えばいいんだよ。それで立派に会話は成立するんだから」

 松井「ありがとうございました」

 1983年にハワイアンオープンを制し、日本人男子として米ツアー初勝利を挙げた成功者からのアドバイス。「遠慮せず、臆(おく)することなく飛び込んでいってコミュニケーション取れるようにしたい。日本語と同じようには話せないわけだから不安はありますが、何とか身に付けて消化していきたい」新庄からプレゼントされた字幕付きDVD50本と静電気防止スプレーもこの日、関係者を通じて自宅に到着。英語習得へ、準備は整いつつある。

 また、来年2月下旬には、ヤンキースのキャンプ地となるフロリダ州タンパで青木はシニアツアーに参戦する。「見に来いとは言えないから、オレがグラウンドに行くよ」とキャンプ視察を約束。「ぜひお願いします」と松井も快く受け入れる構えだ。

 2冠王、MVP、日本一、そして衝撃のメジャー移籍。激動の2002年も、この日が最後の公式行事となった。「自分が今まで養ってきたものを全部出し切ろうと思ってやってきた1年でした。3冠王は取れなかったけど、日本一になれたし、いいシーズンだったと思います。忘れることのできない1年でした」と感慨深げに振り返った。

 今後は30日に故郷・石川に帰省、年明けにはニューヨークへ渡ってヤンキースと正式契約を結び、メディカルチェックを受けた後、入団会見の運びとなる。一時帰国してG球場で自主トレを行い、来月下旬にはNYに上陸。2月早々にはキャンプ地に乗り込む。

 表彰式後の会見で、松井は堂々と胸を張った。「新たなスタートを切る1年。予想はつかないけど、一歩ずつ、階段を上っていきたい。強い気持ちで乗り切っていきたい」青木だけでなく、サッカーの高原をはじめ、各界のヒーロー、ヒロインからもエールを送られた。夢への旅立ちを前に、胸に響く言葉をかみ締めた。

 ◆松井 秀喜(まつい・ひでき) 1974年6月12日、石川・根上町生まれ。28歳。93年、石川・星稜高からドラフト1位で巨人入り。98、2000年に続き、今季も本塁打と打点の2冠を獲得。巨人では25年ぶりの50本塁打で、3度目のMVPにも輝いた。186センチ、95キロ、右投左打。

◆2002年プロスポーツ大賞受賞者

部門 受賞者 所属 年齢 受賞回数
野球(セ・リーグ) 松井 秀喜 前巨人 28 2年ぶり3度目
野球(パ・リーグ) 松井 稼頭央 西武 27 5年ぶり2度目
男子ゴルフ 中嶋 常幸 フリー 48 16年ぶり6度目
女子ゴルフ 藤井 かすみ ザ・クイーンズヒル 35
大相撲 朝青龍明徳 高砂 22
ボクシング 徳山 昌守 金沢 28
Jリーグ 高原 直泰 磐田 23
特別功労賞 青木功 フリー 60 -

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