1997年以来、2度目の受賞。この表彰式のために前日、旅行先のハワイから帰国した。控室にいるときから驚きの連続だった。朝青龍と握手すると「でっかい手だ。覆われて(自分の)手がなくなるかと思った」と肩をすくめた。ボクシング・徳山とも会話が弾んだ。右まぶたにくっきりと傷の縫い目が残っている徳山を見て、「すっげえー」と目を丸くするばかり。そんな中でも何より、もうひとりの松井との出会いを喜んだ。
会場でも控室でも隣同士だったゴジラにエールを送った。「頑張ってください、と言うしかないよ。シーズン中は、デーゲームの後とかに巨人戦の中継を見てましたよ。ホームランバッターだし、どれだけ通用するか楽しみ」子供のころは巨人の原(現監督)が好きだった。今、そのあこがれは海を渡るゴジラ松井に変わった。
“松井の魂”は継承する。今ではすっかり定着した「リトル松井」のニックネーム。来季もそう呼んでほしいと思っている。「最初は違和感を感じていたけどね。米国で自分がそう呼ばれているということは、それだけ評価されているということだから。慣れましたよ」スイッチヒッターとしては史上初のトリプルスリー(3割、30本、30盗塁)を成し遂げた。その存在感は、もう「リトル」ではない。
◆松井 稼頭央(まつい・かずお) 1975年10月23日、大阪府生まれ。27歳。94年にPL学園高からドラフト3位で西武入団。95年オフにスイッチヒッターに転向。97年から3年連続盗塁王。98年にMVP。ゴールデングラブ賞も3度受賞するなど数々のタイトルを獲得。現役最長となる1003試合連続出場記録も継続中。177センチ、78キロ。右投両打。