◆夢と興奮「来年もよろしく!」
今年のスポーツ界の「顔」がズラリと並んだ。海を渡る決心をした松井秀がいる。高原がいる。16年ぶり受賞の中嶋が胸を張る。20日に6度目の防衛を果たしたばかりの徳山の右目上の傷は生々しいが、その顔からは笑みが絶えることはない。ハワイから帰国したばかりの松井稼が日焼けした顔をほころばせば、モンゴル出身の朝青龍は来季からの松井秀、高原の海外挑戦にエールを送る。紅一点の女子ゴルフの藤井は、黒いパーティードレスに身を包んだ。どの選手にも誇りが満ちあふれている。2002年の最後を締めくくるにふさわしい豪華なキャストが勢ぞろいだ。
壇上でスポットライトを浴びた選手たちの活躍は、日本全体をおおう暗いムードも吹き飛ばした。「この打ちひしがれた不況のなかで、興奮と感動と夢を与えてくれた」と、あいさつに立った読売新聞東京本社・大内孝夫専務取締役事業局長。そして、そのうねりは、海のかなたにも向かい始めた。「今やプロスポーツ界は国際化の波に大きくさらされています。来年は松井選手がヤンキース、高原選手がドイツ・ハンブルガーSVに入ります。2人の成功を祈るとともに、日本国内のスポーツの一層の発展を望みます」とプレゼンター役を務めた報知新聞社・伏見社長が言った。松井稼はメジャー挑戦を「夢」と位置づけ、中嶋はマスターズ再挑戦を目標に掲げた。
晴れやかな選手たちの顔を、会場から長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督(報知新聞社客員)が見つめた。「サッカーW杯などの国際イベントが終わり、来年はプロスポーツ界の選手たちが活躍して盛り上げて欲しい」それは、まな弟子・松井秀へのエールでもある。2002年を沸かせた主役たちは、ミスターの言葉を待つまでもなく、来季の飛躍を誓った。