飛躍の年だった。名古屋場所で失敗した初の大関取りに秋場所で再挑戦し、見事に昇進。年5場所すべて2ケタ勝利を挙げ、年間勝利数は白鵬の66勝に次ぐ55。名古屋、秋は2場所連続で横綱を撃破した。
角界は2月に八百長問題が起こり、3月の春場所は中止に。しかも、大関・魁皇が名古屋場所限りで引退。人気も低迷するだけに、4年ぶりに誕生した日本人大関に大きな期待がかかる。「魁皇関がいて安心しきっていた部分があった。自分たちが相撲界を盛り上げていかないといけない」。九州場所後に大関に昇進した稀勢の里と、土俵を盛り上げる覚悟を示した。
来年初場所は優勝額が掲げられるようになった1909年から初めて日本人力士が消える。「名を覚えてもらえる大関になりたい」という願いをかなえるため、日本人では06年初場所の大関・栃東以来、自身初の優勝をつかむ。
◆琴奨菊和弘(ことしょうぎく・かずひろ) 本名・菊次一弘。1984年1月30日、福岡・柳川市生まれ。27歳。佐渡ケ嶽部屋。高知・明徳義塾中に相撲留学し、3年時に中学横綱。明徳義塾高を経て2002年初、初土俵。04年名古屋、新十両。05年初、新入幕。07年春に新三役(関脇)。11年秋場所後に大関昇進。殊勲賞3回、技能賞4回。179センチ、174キロ。得意は左四つ、がぶり寄り。