JAPANの指揮では、奇跡の逆転Vで勇気と感動を与えた。衝撃が走ったのは、シーズン真っただ中の7月5日。自ら胃がんを告白し、電撃的な休養会見を開いた。日本中が心配する中、無事に手術を終え、今は“復帰ロード”を進んでいる最中だ。
波乱万丈の一年。指揮官が改めて痛感したことがある。「このオフは、いろんな形で表彰を受けたけど、やっぱり勝負事は勝たないといけない、ということだろうね」こう、しみじみと語った。野球人生で初めて日の丸を背負ってつかんだ栄光。表彰ラッシュとなった今、改めて勝利の喜びを教えてくれた。
来季は――1・17メド 次に歓喜の瞬間を味わうのは、来季、ホークスの4年ぶりV奪回の時だ。既に孫正義オーナーと就任13年目の続投方針を確認している。しかし、正式決定ではない。「監督業は大変な重労働。常に先頭に立って引っ張っていかないといけないし、(途中離脱しては)チームの士気にかかわる。自分にとってではなく、チームにとって、ファンにとってマイナスにならないようにしたい」と話している。
「(手術後、半年となる)1月17日をメドにしている。キャンプをフルでやれるかどうか。ペナントレースだけを考えれば(判断が)3月になることもある。選択肢はいろいろあるし、球団とも話し合わなければいけない。自分一人では決められない」指揮官は慎重な姿勢を崩していないが、手応えも感じている。
「この1、2か月の回復ぶりはスピードアップしている」手術前より20キロ近く減った体重が2キロ増えた。この日、筋力低下のため、常に右足首に装着していた固定器具が取り外された。滑らないように革底ではなく、ゴム底の靴を履き、表彰式の壇上への階段を上った。完全復活の時を信じて、ゆっくりだが、着実に歩を進めている。