◆本塁打も打点も「今年1年で自信」無冠返上でV2貢献
プロスポーツ界の豪華な顔ぶれに奮い立った。表彰式の後、阿部の目つきが鋭くなった。「今年一年で自信がついた。打点は終盤まで争えたわけだし、来季いけそうなタイトルはしっかりと狙っていきたい」力強く、無冠返上を宣言した。
今季は自身最多となる140試合に出場。打点は初の3ケタとなる101を残した。最後は122打点のラミレス(前ヤクルト)にタイトルを譲ったが、9月11日まではトップを走った。33本塁打は自身最多タイ。本塁打王の横浜・村田に3本差で終わった。ともにタイトル奪取には失敗したが、自信は得た。
壇上に用意されたイスの左隣にはパ・リーグの2冠王、山崎武が座った。プロ野球史上初となる21年目での40本、100打点以上をマーク。「僕の生きがいは(交流戦で)巨人と中日を倒すこと」と挑発され、阿部は「どうやって抑えるか、しっかりと考えたい」と対抗。ベテランに大いに刺激を受けた。
「プロに入って、一番長いシーズンだった。本当に疲れました」つい本音も飛び出した。シーズン終了後、日本代表として北京五輪アジア最終予選に出場し、オフが例年よりも約1か月、遅れた。5年ぶりのV奪回と五輪出場決定の充実感で、たまった疲労をくるんでいる。
インタビューの最後は「(昨年12月に)結婚して、いいプレッシャーができた。それに打ち勝つことができた」と締めくくった。タイトルを取ることで、V2は現実味を帯びる。慎之助の目にはキングの座しか映っていない。
◆阿部慎之助(あべ・しんのすけ) 1979年3月20日、千葉県生まれ。28歳。安田学園から中大を経て00年にドラフト1位で巨人入り。179センチ、91キロ。右投左打。家族は悠夫人。今季年俸は1億4000万円。