名馬たちが美少女に変身…史実に忠実な設定の大人気アニメ「ウマ娘」が今冬ゲーム化

過去にターフを駆け抜けた名馬たちの名前を冠した少女「ウマ娘」たちの友情や努力などを描いたアニメ「ウマ娘 プリティーダービー」に注目が集まっている。今年4月にTOKYO MXなどで放映され、7月からはブルーレイボックスが発売。売り上げも好調だ。競馬ファンとアニメファン、双方が楽しむことのできる作品となっているのは、キャラクターの設定や名馬たちがたどった“史実”が忠実に生かされている点。秋のG1シーズンを前に、ひと味違った形で過去のレースを振り返ってみてはいかがだろうか。(高柳 哲人)
主人公のスペシャルウィークをはじめ、サイレンススズカやトウカイテイオー、ウオッカなど、競馬にそれほど詳しくない人でも聞いたことのある名馬の名前を持った少女たちが、レースを繰り広げる「ウマ娘―」。近年、さまざまな擬人化アニメが作られ、ヒットする中で、「競馬」にスポットを当てた同作は、異例の盛り上がりを見せている。
元々は、「グランブルーファンタジー」や「アイドルマスター シンデレラガールズ」などのモバイル向けゲームアプリを手掛ける「Cygames」のゲームとして企画がスタート。今冬配信開始予定のゲームに先駆け今年4月からアニメ(全12話)が放映されたところ、一気に火が付いた。7月には、ゲームの事前登録者が30万人を突破。同月からはアニメのブルーレイも順次発売されている。
多彩なキャラクターのビジュアルがアニメファンの心をつかんだ一方で、競馬ファンが見ても納得がいく設定の細かさも人気を呼んだ要因だ。主人公のスペシャルウィークでいえば、競馬の世界では母キャンペンガールは出産直後に死亡し、幼少期は農耕馬を「乳母」として育ったという事実があるが、本作でもヒロインの“お母ちゃん”は「育ての親」として登場。生みの母親は亡くなったというストーリーになっている。
他にもウマ娘たちが大レースに着用するユニホームには、実際の競走馬の勝負服の色やデザインを採用。また、流星(顔の白い模様)があった競走馬がモデルとなっているウマ娘は、前髪の色が白いなど、競馬ファンであれば「なるほど」とうなずけるはず。ストーリーのネタバレとなるので触れないが、レースの結果も実際の歴史と合致するものが多い。
自身も「物心がついた頃からの競馬ファン」という伊藤隼之介プロデューサーは「名馬が持っている物語が元々素晴らしく、競馬のドラマは終わらない大河ドラマのようなものだから」と本作がヒットした要因を分析。「登場する競走馬は多くの関係者や当時のファンが存命で、いまだに深い愛情が生きているため、題材に対して真摯(しんし)にならないといけない」と気を引き締めて臨んだという。
ちなみに、スペシャルウィークが主人公となった理由について、Cygamesの石原章弘さんは「グラスワンダーやエルコンドルパサー、セイウンスカイなど多くのライバルがいたこと、勝ったり負けたりという戦績が、ストーリー的にドラマチックに思えたから」と説明。その言葉通り、アニメでは勝ち負けを繰り返しながら、一人前のウマ娘となっていくまでの成長が描かれる。
競走馬を擬人化するというコンセプトについては「少女自身が『勝ちたい!』と言い切ることで、もしかして競走馬もそう思っているのだろうか…という想像を生むことができると思います」。感情移入しやすいだろう、と考えた石原さん。「今まで競走馬に興味を抱かなかったという方にも、かつての名馬たちの足跡を知ってもらう一つの手段になりえれば幸いです」と、本作がアニメファンと競馬ファンの「懸け橋」となることを願っている。
◆「ウマ娘 プリティーダービー」
異世界から受け継いだ輝かしい名前と競走能力を持つ“ウマ娘”が、遠い昔から人類と共存してきた世界の物語。田舎から都会のトレセン学園に転校してきたウマ娘・スペシャルウィークは、チームメートたちと切磋琢磨(せっさたくま)しながら、母と約束した「日本一のウマ娘」を目指してライバルたちが勢ぞろいする「トゥインクル・シリーズ」での勝利を目指す。
◆「BNW」が主役の新作収録
今月15日に第2弾が発売されたブルーレイボックス「ウマ箱」。12月19日に発売予定の“第4コーナー”には、完全新作アニメ「BNWの誓い」が収録されることが決定した。コアな競馬ファンであればピンと来るであろう「BNW」とは、1993年のクラシック3冠路線をにぎわせたビワハヤヒデ(B)、ナリタタイシン(N)、ウイニングチケット(W)の頭文字。本編アニメでは“脇役”に徹していたが、ここではメインキャラクターとして3話分のボリュームでストーリーが展開される。3冠を1勝ずつした3頭(人)の姿がどのように描かれているか期待される。
【作品に登場する主なウマ娘】
◆スペシャルウィーク
アニメの主人公。寮の同室・サイレンススズカを慕う。目標は母と約束した日本一のウマ娘になること
◆サイレンススズカ
言葉少なで物静か、影のある憂いを秘めたクールな美少女。得意戦法は、スタートダッシュからの大逃げ
◆トウカイテイオー
身軽に跳ねる独特のフットワークが特徴。トレセン学園の生徒会長・シンボリルドルフに強い憧れを抱く
◆ウオッカ
ボーイッシュな雰囲気を持つ、ヤンチャで生意気な性格。自分を一人前のウマ娘として認めてもらいたい願望が強い
◆ダイワスカーレット
学園内でアイドル的な人気を集める優等生。プライドが高い。クラスメートのウオッカは最大のライバル
◆ゴールドシップ
芦毛の銀髪がトレードマーク。性格は粗暴で凶悪。気分が乗らないと、レースやトレーニングを真面目にやらない
◆メジロマックイーン
屈指の名家「メジロ家」の令嬢。自身も血統に強い誇りを持つ。ゴールドシップとは特別な縁を感じている