農家育成予算に困った地方行政が思いついた“風が吹けば桶屋が儲かる”的アイデアとは?

ジャガイモ(馬鈴薯)、小麦、玉ねぎなどの農作物の作付面積で全国1位を誇る北海道。かつては一次産業で財政が潤っていた、そんな北海道も予算削減の波には逆らえず、近年は若手農家の育成予算にも事欠いているという。そんな窮状を救おうと、北海道石狩振興局が、このほど始めたのが、「農家を守るためには、まず〝自動販売機〟を作ろう…」という一風変わった取り組みだ。
若手農家や新規就農者の育成予算を確保しようと、道内の大手飲料メーカー・ポッカサッポロ北海道と連携。「寄付型自動販売機」の設置に取り組み始めた。この自動販売機からお茶やジュースなどを購入すると、売り上げの2~3%ほどが石狩管内の指導農業士・農業士らに寄付され、農家育成のための費用として使われるというユニークな仕組み。自動販売機には、かわいらしい野菜のイラストや4コマ漫画が描かれ、明日の農業を支える若者に共感を持ってもらえるよう工夫されている。27日には札幌市内にある北海学園大の校舎内に第1号の寄付型自動販売機が設置され、早くも学生の注目を集めている。
これまで北海道は農業の担い手育成のための費用は予算化していたものの、それは道職員の事務作業を進める程度のもの。指導農業士が若手農家を指導するための予算はほぼゼロだった。そのため、志の高い農家が、費用を持ち出しして指導にあたることも多かったという。
そんな中、今回のユニークな「寄付型自動販売機」設置作戦は道内の農業関係者の期待を集めている。
「この自動販売機が地域の名物となって、北海道農業の発信源になれば嬉しい」と北海道石狩振興局の佐藤哲夫局長。「農家を守るためには、まず自動販売機を作ろう」を合言葉に、北海道石狩振興局の職員は地道な活動を行い、このあと、管内6か所に寄付型自動販売機を設置する予定になっている。