「ミスター麻雀」小島武夫さん死去…連盟葬で一般ファンの参列も受け付け

「ミスター麻雀」の異名で知られ、戦後の麻雀ブームをリードした日本プロ麻雀連盟初代会長・最高顧問のプロ雀士、小島武夫さんが5月28日に心不全で亡くなったことを31日、同連盟が発表した。82歳だった。1970年代には人気の深夜番組「11PM」などに出演して対局を実演。ポンやチーをしないメンゼンの手を重視する、見ても楽しい麻雀でファンを魅了した。通夜は6月8日午後6時~7時、告別式は6月9日午前9時30分~11時、東京・品川区の桐ケ谷斎場でともに連盟葬で営まれる。
麻雀ファンから「ミスター麻雀」「小島先生」などと呼ばれて親しまれた小島さんは28日、都内の病院で静かに息を引き取った。連盟の関係者によると、長年患っていた糖尿病などの影響で約2か月前から体調が悪化。1人暮らしだったことから連盟に勧められて、入院生活をしていた。
小説「麻雀放浪記」などで知られる麻雀作家・阿佐田哲也氏、プロ雀士・古川凱章氏(いずれも故人)らと「麻雀新撰組」を結成。「11PM」に出演してタレント的な人気を呼んだ。1981年には「日本プロ麻雀連盟」の初代会長に就任。常に視聴者を意識する「魅せる麻雀」がモットー。対局番組に出演し続け、麻雀を“競技”として親しみやすいゲームにした。
得意手役は三色同順、その中でも純チャン三色を最も好んだ。打点の高さはプロ雀士の間でも随一と言われた。
麻雀で最も得点の高い「役満」を仕上げることにもたけ、完成率が0・1%以下ともいわれる幻の役満、九蓮宝燈(チューレンポートー)は、2度の公式戦を含めて生涯で5度上がっている。2009年の第3回モンド名人戦予選では、わずか8巡目でツモ上がり「劇画のようだ」と麻雀ファンを驚嘆させた。
11年3月には、75歳の高齢で麻雀グランプリMAXに出場して優勝。健在ぶりを示した。CS放送「モンドTV」の対局番組には、2016―2017シーズンまで出演していた。
麻雀を単なる勝ち負けだけではなく、自身の生きざまとして表現し続けた。破天荒な人生や独特の勝負哲学は共感を呼び、経営者となった雀荘をたびたび倒産させた借金王としても有名である。「近代麻雀オリジナル」で連載されたかわぐちかいじ氏の漫画「はっぽうやぶれ」では主人公・花島タケオのモデルになった。
連盟によると、通夜・告別式では「多くのファンの方に愛されたので」一般の参列も受け付ける予定だという。
◆九蓮宝燈(チューレンポートー) 麻雀で最高得点である役満のひとつ。メンゼンで、同色の数牌だけで図のような形であがること。配牌であがる「天和」(テンホー)と並び希少価値が高いとされる。あがると死ぬという迷信があり、阿佐田哲也氏の「麻雀放浪記」では、出目徳があがり、死去した。麻雀の基本のあがり形は、同じ牌2つの「雀頭」(ジャントウ)と、同じ牌を3つそろえた「刻子」(コーツ)か、3つ並んだ牌の「順子」(シュンツ)4組で構成され、難易度によって点数が決まる。
◆小島 武夫(こじま・たけお)1936年2月11日、福岡市博多区生まれ。1970年代から「11PM」の麻雀コーナーに出演。78年から2年連続で最高位を獲得するなど、さまざまなタイトルを得た。段位は九段。著書に「ろくでなし 伝説のミスター麻雀 酒と女とカネの無頼75年」「麻雀・最強の打ち方」など。