平成生まれ初の関取・高安、平成最後の春場所で「優勝」して綱取り足がかりに

スポーツ報知
稽古場のある園田競馬場内で20代最後の誕生日ケーキを手にした高安(カメラ・小沼 春彦)

 平成最後となる大相撲春場所(10日初日・エディオンアリーナ大阪)に臨む大関・高安(田子ノ浦)が28日、29歳の誕生日を迎えた。兵庫・園田競馬場内の朝稽古では荒磯親方(元横綱・稀勢の里)と連日の三番稽古。2日間で47番(17勝30敗)と番数を着実にこなして準備した。2010年九州場所で平成生まれ初の関取としても注目を浴びた大関は、20代を締めくくる目標に「初優勝」と「横綱昇進」を力強く掲げた。

 ハタチで平成生まれ初の関取になってから約9年。29歳になった高安が、平成最後の春場所へ闘志を燃やした。20代最後を踏み出すと「目標はひとつしかない。この一年、勝負をかけて花を咲かせたい。優勝して、また番付を上げたい」と大阪での初賜杯を足がかりに、横綱昇進も視野に入れた。

 朝稽古では、1月に現役を引退したばかりの荒磯親方に直訴して約40分間、相撲を取った。27日の20番に続き、この日は27番。計9勝18敗と負け越すも、現時点で結果は求めていない。「今は、数を増やして体力をつけたい」と勝敗以上にこだわったのは番数と内容。9連敗した17番目には納得がいかず「お願いします」と続行を願い出た。

 腰高になる悪癖がのぞけば、スマホ動画で入念にチェックして改善策を探った。荒磯親方は昨年3度、優勝次点の悔しさを味わった弟弟子に「攻めが速くなってきた。もっと(高安自身が)強いと思っていい」と精神論も説いた。

 初めて部屋宿舎を競馬場内に構え、“勝負運”もついてきた。この日午後の園田競馬第5レースは「大関高安関お誕生日記念」として開催。ゲート付近で見守ると馬番1、2着は三番稽古の番数を表すように「2、7」だった。しかも、「勝って(馬券を)あげたい」とプレゼント予告していた荒磯親方も「第“72”代横綱・稀勢の里」にちなんだ予想が的中した。

 飛躍の一年へ吉兆となるか。「足りないのは安定感だけ。もっと稽古から精進して、自分の気持ちを奮い立たせたい」と高安。平成を締めくくるべく、あとは無我夢中で土俵に上がるだけだ。(小沼 春彦)

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