稀勢の里、高安圧倒のち“かわいがり”「ごっちゃん」弟弟子に胸借り土俵にゴロリ背中砂だらけ
スポーツ報知

大相撲九州場所を途中休場し、進退問題が再燃している横綱・稀勢の里(32)=田子ノ浦=が27日、東京・江戸川区の田子ノ浦部屋で弟弟子の大関・高安(28)との三番稽古を約2か月ぶりに再開した。まずは三段目力士と6番取って“試運転”。続いて高安と胸を合わせるとエンジン全開で13勝3敗と圧倒した。
立ち合いの圧力で押し出すなど、まわしにこだわらず、本場所を意識して多彩に攻めた。荒れた息は壁にもたれかかりながら必死に整えた。初心に戻ったかのように「気持ち良かったですね。(負傷している右膝は)大丈夫」と表情は晴れやかだった。
右膝治療を優先させて22日までの冬巡業を全休。相撲人生の懸かる初場所(来年1月13日初日・両国国技館)出場へ調整遅れは隠せない事実だが、逃げも隠れもしない。有言実行で不安を振り払った。横綱審議委員会から出された初の「激励」決議を受け止め、25日の番付発表会見では初場所へ強い意欲。26日に三段目力士と相撲を取り始めると「(27日に)高安とやれれば」と話した通りに、一夜明けて即座に動いた。
締めのぶつかり稽古では高安が「少しでも横綱の力になれれば。やるからには先輩後輩はない」と胸を出した。兄弟子を容赦なく土俵に転がした。全身は砂だらけ。首根っこを両手で押さえつける“かわいがり”のような形にもなった。
約5分間ではあったが、顔を紅潮させながらも歯を食いしばった稀勢の里は「高安が『(ぶつかり稽古)どうですか?』と聞いてきたから『ごっちゃん』という感じ」と弟弟子の心意気に感謝した。この日は計22番だったが、昨年末も1日30番前後の相撲を取って年越しした。新春へ調整ペースを上げていく。ここからが本当のスタートだ。(小沼 春彦)