井上尚弥「対策が見えた」 次戦相手のロドリゲス戦へ

プロボクシングWBA世界バンタム級王者の井上尚弥(25)=大橋=が24日、IBF世界バンタム級タイトルマッチ(20日、米フロリダ州オーランド)視察から成田空港着の航空機で帰国し、所属の大橋秀行会長と取材に応じた。他団体王者らがトーナメント方式で争う「ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)」準決勝を兼ねた世界戦を現地で視察。来春にも米国で対戦予定の次戦相手、IBF王者ロドリゲス(プエルトリコ)の試合を生観戦。試合後はリングに上がり、ロドリゲスと顔をつき合わせ、「試合のままの格好だったし、体格とかを肌で感じることができた。いい視察だった」と手応えを語った。
試合はロドリゲスが同級3位モロニー(オーストラリア)に2―1の小差判定で競り勝つ薄氷の防衛。井上は「試合後に左拳を負傷したと聞いたが、それがなくてベストコンディションの試合だったら、ちょっと期待外れだったかなと感じた」と語った。
自身の採点としては「ロドリゲスが負けててもおかしくない試合だった。際どかった」としながらも「毎回言うけど、ロドリゲスも過去最強の相手だと思う。左の多彩なコンビネーションを警戒するところ。スタイル的には僕と似ているので相当、かみ合ういい試合になる。技術での試合になると思う。ハラハラするような試合になる」と油断は見せなかった。
大橋会長は「左拳を負傷していたことを後に知ったが、中盤から後半にかけてダメになった部分もあり、ロドリゲスの強さも弱さも見えた試合だった。ただ左のフックのカウンターがうまくすごくいい選手」と分析した。
オーランドの世界戦会場では「イノウエ」コールが巻き起こったという。サッカー会場の「オ~レ~オレオレオレ♪」のような感じで「イ~ノ~ウエウエウエ♪」のように聞こえたそうで大橋会長も「まさにそうだった」。井上も「まわりから『モンスター』と言われた。歓迎されてるなと、気持ち良かったですね。次はおそらく米国になるし日本と違う場所なのでメンタルをしっかり上げて、いつも通りスカッと勝つ試合を見せたい」と語った。
来年3月下旬に米国開催が濃厚なWBA王者・井上―IBF王者・ロドリゲスの2冠統一、WBSS準決勝戦の展開も描いた大橋会長は距離感に注目。「自分の一番いい距離感で技術を出す空間というのが(井上、ロドリゲスも)互いにまったく同じように感じた。前回(井上が1回70秒でKO勝利した7日の世界戦)は歴史に残るKOシーンだったので、今回は歴史に残る技術戦になる」と予測した。
オーランドでの視察後は本場ラスベガスにも足を運んだ。ボクシング世界戦の殿堂、MGMグランドも見て「街の雰囲気がすごい迫力があった。ここ(ラスベガス)で人気を上げていきたいとすごく思った」と語った。