村田諒太、連盟の不正疑惑騒動に「こんなことをやっている場合じゃない」

プロボクシングのWBA世界ミドル級王者・村田諒太(32)=帝拳=が6日、米ラスベガスで10月に計画するV2戦に向け、都内の所属ジムで練習を再開した。山根明会長(78)が絡む日本ボクシング連盟の不正疑惑騒動に「五輪を目指している選手たちがどれだけいい環境で競技に取り組めるかが問題。しっかりした体制を作ることが次の一手になる」と言及。開催まで2年を切った東京五輪を見据え、「選手ファースト」の思いを訴えた。
五輪金メダリストとして、村田がアマチュアの後輩たちをおもんぱかった。日本ボクシング連盟の不正疑惑に触れ、「現役の選手たちがどれだけいい環境で競技に取り組めるかが問題。ボクシングが五輪競技から外されるかもしれない今、(存続の)意思表示をしないといけないのに、こんなことをやっている場合じゃない」と堂々と語り、騒動の早期決着を望んだ。
疑惑発覚以降、フェイスブック上で、連盟トップの山根会長ら現体制へ批判的な態度を貫いてきた。同会長から公共の電波を通じ、「生意気だよ!」と非難されてきたが、「もう誰が勝ったか負けたかの小さい話じゃない」と一蹴。同じ土俵には乗らない姿勢を示した。
助成金の不正流用疑惑をきっかけに、山根会長の元暴力団関係者との関係が明るみになるなど醜聞が噴出。村田は「もう社会的に現体制が許されないのは今の流れを見たら分かる」と、山根会長が道義的責任を問われることは必至とみている。
一方で、競技のイメージ低下を憂慮しており、「次はボクシングが健全なスポーツと分かってもらえるかどうか。これは、どんな体制になってもやることは同じ。しっかりした体制を作ることが次の一手になる」と“古巣”の再建を願った。
日本オリンピック委員会(JOC)が同連盟に第三者委員会設置を要求したことには「東京五輪まで2年を切っている。第三者委は時間がかかってしまう。強制力をもって対応できないものか」とJOCの積極的な関与に期待を寄せた。
10月に米ラスベガスで計画するV2戦に備え、7月末から千葉・成田市で行っていた走り込み合宿を今月4日に終え、この日からジムでの練習を再開した。村田は「もうコメントはしません」と騒動からいったん距離を置く。プロ、アマの垣根を超えたボクシング界の顔の訴えはどこまで届くか。(飯塚 康博)
村田がV2戦への土台を築いた。6月末の沖縄に続き、7月末から1週間行った千葉・成田市内でのキャンプで、じっくりと走り込んだ。「下半身のベースはできた。タイムも上がっているし、あとは落とさずにキープしていければ」と手応えを口にした。
陣営が10月20日にラスベガスで計画するV2戦の挑戦者候補には、WBA2位のロブ・ブラント(27)=米国=や、同9位のジェーソン・クイグリー(27)=アイルランド=らの名前が挙がっている。激戦階級の世界ランカーは難敵ぞろいだが、「どちらが来ても問題ない。決まった相手と戦うだけ。誰でもいいです」と話すなど、受けて立つだけだ。
来週初めにもイベント出席のため、ラスベガスに出発する予定。V2戦の正式決定を経たのちに、実戦練習に取り組んでいく。
◆日本ボクシング連盟の不正疑惑をめぐる村田と山根会長
▼7月28日 村田 は助成金問題が報道された当日のフェイスブックに「そろそろ潔く辞めましょう、悪(あ)しき古き人間達、もうそういう時代じゃありません。新しい世代に交代して、これ以上、自分達の顔に泥を塗り続けることは避けるべき」と山根体制を暗に批判する投稿をする
▼8月2日 山根会長がフジテレビの電話取材に「(村田の批判に)大きいショックを受けた。あの子には愛情を与えて金メダルを取らせた」と話す
▼同3日 山根会長は日テレの番組で村田の批判に触れ「村田君は一人でメダルを取れる力はありません。恩をあだで返された。生意気だよ」と一転、激高
▼同4日 山根会長の“暴言”に、村田はフェイスブックに「色んな人に、勝手なこと散々言われて落ち込 んでない? とか声かけてもらったりしていますが、何一つ気にしていないので大丈夫です」と記す