【二宮寿朗の週刊文蹴】乏しいJの話題…注目度を競え

スポーツ報知

 4年に1度のアジア杯があるから仕方ないと言えばそうなのだが…。Jリーグのクラブが始動、そのほとんどがキャンプインしているのにあまり話題になっていないような気がする。あちこちのテレビで流れたニュースと言えば、神戸に加入した元スペイン代表の大物ストライカー、ダビド・ビジャが初練習を行ったことぐらいだろうか。

 しかし「仕方ない」では済ませたくない。話題を探すのは無論、スポーツメディアの仕事ではあるものの、一方で取材対象側の協力もあって成り立つ部分もある。

 Jリーグよりも歴史の長いプロ野球の方が、話題づくりはやはりうまい。たとえば先日、オリックスの吉田正尚が自主トレを公開して陸上ハンマー投げ、アテネ五輪金メダリストの室伏広治氏の指導を受ける様子が各メディアで取り上げられた(スポーツ報知も「室伏氏が吉田に3冠王&東京五輪出場指令」という記事を掲載)。メディア側から見れば2人の組み合わせは飛びつきやすい“ネタ”であるし、選手側からしても自分への期待度や注目度がアップすると考えればマイナスにはならない。

 筆者が少年時代によく読んだ水島新司さんの野球マンガ「あぶさん」に「一面トップ」という話があった。ネタバレしない程度で申せば、当時(70年代)の南海ホークスは話題性に乏しく、監督が右打ちの「あぶさん」を敢えて左打ちで練習させて報道陣の目を向けさせていく…というストーリー。話題づくりも勝負の一つ。そんな水島さんのメッセージを感じることができる。

 プロスポーツは人気商売だ。注目を集めるにはメディアを逆に利用するぐらいの発想があっていい。Jクラブや選手はメディアが飛びつきそうなトピックを、もっと仕掛けていいとも思うのだ。Jリーグの人気向上のためにも注目度を競ってほしい。待ちの姿勢だけでは話題は広がっていかない。(スポーツライター)

サッカー

×