【セントウルS 吉村が見た】ファインニードル完調手前でも余裕の連覇!春秋スプリント王へまた一段階強くなった

◆第32回セントウルS・G2(9月9日・芝1200メートル、阪神競馬場、重)
サマースプリントシリーズ最終戦の第32回セントウルS・G2(9日、阪神)は、昨年の覇者ファインニードル(川田)がG1馬の貫禄を見せつけて連覇を飾った。スプリンターズS・G1(30日、中山)の優先出走権を得た5歳馬が、春秋スプリントG1制覇へ視界良好だ。サマースプリントシリーズは、逆転Vを狙ったラブカンプーが2着に敗れ、アレスバローズが優勝。同馬の馬主に3200万円、厩舎関係者に800万円の褒賞金が贈られる。サマージョッキーズシリーズは福永祐一騎手(41)=栗東・フリー=が7年ぶり2度目の優勝。褒賞金100万円を手にした。
終わってみれば王者の独り舞台だった。最後の直線はステッキを使うことなく加速していくファインニードルに、ライバルたちは抵抗すらできなかった。「いい内容で勝ってくれました」と川田。秋初戦は満点の走りで終えた。
好位勢をみる7、8番手を追走。じわじわと内に潜っていき、前に壁をつくって流れに乗った。勝負どころからは「ダメージを残したくなかったので、少しずつ動かしていきました」。鞍上の意のままに脚を伸ばし、余裕で抜け出した。
レース史上2頭目の連覇は、全く違う立場で成し遂げられた。スプリンターズS出走を目指し“勝負駆け”だった昨年は、絶好調だった夏からの状態維持が最優先テーマ。今年は「一度使えば良くなる状態」を念頭に陣営は始動戦に臨んでいた。
6日の最終追い切りを見守った高橋忠調教師が「六、七分」と公言した仕上がり。その状況でも、条件馬時代に勝ち切れなかった重馬場、他馬より2キロ以上重い斤量58キロ、香港遠征帰りの4か月半ぶりと、割引になりかねない不安材料を全て克服した。頂点まで上り詰めた春と比べ、また一段階、地力強化を果たしたとみて間違いない。
3週後の大舞台で狙う春秋スプリントG1制覇へ、視界はすこぶる良好だ。「さらにというより、かなり良くなると思います」と川田が胸を張れば、高橋忠師も「しっかりケアできれば、いい形で出せる」と自信を隠さなかった。完調手前での休み明けV→G1制覇は今春(シルクロードS→高松宮記念)で達成済み。国内屈指のメンバーが向かってきても、主役は譲らないだろう。(吉村 達)
◆ファインニードル 父アドマイヤムーン、母ニードルクラフト(父マークオブエスティーム)。栗東・高橋義忠厩舎所属の牡5歳。北海道日高町・ダーレー・ジャパン・ファーム有限会社の生産。通算26戦9勝(うち海外1戦0勝)。総収得賞金は3億7805万3600円(うち海外1313万7600円)。主な勝ち鞍は高松宮記念・G1(18年)、セントウルS・G2(17年)、シルクロードS・G3(18年)。馬主はゴドルフィン。