【巨人】宮本コーチインタビュー リリーフ陣のローテ構想、メンタル改革も

スポーツ報知
メモを取りながら大江(左)と話をする宮本コーチ

 新生・原巨人の戦いがスタートした。スポーツ報知では新コーチに来季への抱負などを独占インタビュー。第1回は21年ぶりの現場復帰となる宮本和知投手総合コーチ(54)。リリーフ陣のローテーション制を目標に掲げ、勝ち試合の継投を「2パターン作りたい」と構想を明かした。先入観を持たず、ゼロからフラットな目で見極めることを強調。選手にはプラス思考を求め、メンタル面の改革にも意欲を示した。(取材・構成=片岡 優帆)

 現役引退した97年以来の現場復帰となった。

 「21年は長かったねえ。外から目線ではテレビを通して選手をインタビューしてきて、性格はだいたい分かる。今度は中から。野球人としての性格というのがあるので。この選手はマウンドに上がったら燃えるなとかね。こういう一面があるならリリーフが向いているんじゃないかとか。そういった適性を見ていきたい。“豊洲市場の目”というかね、新鮮な目で見たいね」

 グラウンドでは選手との対話を重視。先入観を持つことなく、フラットな目で見ている。

 「選手というのは急に成長を遂げる。僕らも楽しみにしている。今年1年間ファームだった選手もいるけど、ちょっと待てよ、なんでこの選手がずっとファームだったの、とかね。水野コーチとも、そういう目線で見ようよと話している。今決まっているのは菅野智之だけじゃないかな」

 今季終盤、勝ち試合の8、9回は先発から転向した畠と山口俊が務めたが、白紙に。理想に救援陣のローテーション制を掲げた。

 「2パターンできたら最高だなと思っている。負担を減らすことができるし、故障も防ぐことができる。やっぱりシーズンを通して戦うためにはリリーフも2パターン必要だし、しっかり休みを取ってあげないと。今いるメンバーで2パターンを作れれば一番いい」

 自身も現役時代、救援の経験がある。役割が決まっていることほど、やりやすいことはないと力説する。

 「本当にベストなのは、リードしている時の1イニングだけと決めてあげたり、負けている場面では行かせないよ、とかね。あくまで願望だけど。一人一人役割は違う。先発、リリーフ、人によってはどっちも任せるぞ、もあるかもしれないけど、ポジショニングを明確にして居場所をしっかり作ってあげたい」

 “居場所”の大切さは21年間、様々な活動をしてきて痛感したという。

 「一般のビジネスの世界でもそうだと思うけど、居場所がふわふわしていると、そこに責任は生まれない。競争、結果、責任。僕はこの3つをコーチとしてテーマに挙げたい。競争意識の中でみんなで競争して、出た結果において、各自が責任を持ってもらうよとね」

 競争という部分では、全員にチャンスがある。

 「チームがこうやって変わると選手たちの気持ちも変わると思うし、変わってもらわないと困る。僕らが新鮮な目で見る中で、自分たちのまっ白な画用紙に、いろんな色をつけてもらいたい。色づき方がすごく楽しみですよ。僕は先発をやりたいんだとか、どんどんアピールしてほしい」

 若手主体の秋季キャンプは練習に活気がある。

 「高田だとか大江だとかの新しい、若い力が出てくると他の選手の刺激になるし、チームも元気になる。このキャンプにおいては、うまい選手はいらないと思っている。原監督もよく言うけど、タフな選手が欲しい。調子の波を少なく戦える強さ。一流選手になるにはけがもしちゃいけない。けがをしない強い体もプロの世界には必要だから」

 宮本コーチはメンタルコーチのライセンスを持っている。技術だけでなく精神面の指導も期待される。

 「引退してからメンタルの勉強をした。最終的にはアメリカに行って、ゴルフのタイガー・ウッズのメンタルコーチをやっていた人にいろいろ教わった」

 投手で大切なことは。

 「セルフトークですよ。人間は自分の中でトーキングするよね。例えば朝起きて『今日、会社行くの嫌だな』とか。嫌でも会社終わったらうまいものを食べに行くぞ、とかね。自分でプラス思考、ポジティブにしていく。投手なら、この場面を抑えたらどんなすごい世界が待っているんだよ、とかね。常に成功をイメージしてセルフトークしながら投げることが大事になる」

 良いイメージを持つことが投球に好影響を与える。

 「投手は優位なんだと。3割打者でも7度はミスをするわけだから。例えばスライダーなら、あそこから曲げようとか、脳で1度投げさせる。脳で1度投げるということは、実際に投げる時は脳の中では2度目の投球になる。そうなるとリラックス感も変わる。他にも3秒で吸った息は6秒で吐くとかね。倍で吐くと気持ちが楽になる。他にもいろいろあるけど、徐々に選手たちに伝えていきたい」

 来季5年ぶりのリーグ優勝、7年ぶりの日本一へ、投手陣の奮起は不可欠だ。

 「こうやってユニホームを着る機会を頂いたわけだから。選手だけでなく、僕にも責任がある。俺も責任持ってやるよ、だから一緒に戦おうぜ、と言いたい。現役13年、引退して21年。何か縁を感じるしね。僕は背番号13で巨人軍に入って21番に替わったから。責任を持って、選手たちと成長できるように頑張りたい」

巨人

×