【巨人】由伸前監督、4番岡本、尚輝らの台頭「うれしい」

第3次原政権が誕生した。巨人は23日、東京・大手町の読売新聞本社で原辰徳新監督(60)の就任を発表した。高橋由伸前監督(43)は原監督と同席した会見で3年間の監督生活を振り返った。
最後まで、周囲への感謝を忘れなかった。コーチ、スタッフ、家族や親へ。何より優勝できなかった悔しさも含め、由伸監督はありったけの思いを込めた。
「まずは3年間、たくさんの声援をいただいたファンの皆さまに本当に申し訳なく思っています。私自身も非常に悔しい気持ちでいっぱいです。私を必死に支えてくれたコーチやスタッフ、そういった方たちに本当につらい苦しい思い、傷つけてしまったこともたくさんあったと思うんですけど、それも全て私の力不足だったと思っています」
常に選手の力を信じて戦ってきた。就任当初から「何とか岡本を4番に…」と期待をかけ、今季は不動の地位を確立させた。吉川尚や田中俊、大城といった来季への希望もつくった。だが「それは私一人の力ではないですし、何より選手本人の力だと思います」と強調した。「自分の力のなさ」を強調し、優勝できなかった責任も語り尽くした。「自分に今、何が必要なのか」。新たなスタートへ。来たる未来への、自身に対する課題を挙げ、退任会見を終えた。
常に心の中には、父・重衛さんがいた。つい先日、由伸監督は、こう懐かしそうに語り始めた。「本当だったら2014年シーズンで引退しようと思ってたんだ」。若い選手が出始めた頃で「もういいかなと思ってね」。夏の球宴休みで実家に帰った際、父親には「おれ、今年で辞めるよ」と伝えたという。だが、約1か月後の8月に父が死去。「このままでは辞められない」と改めた。「監督やってても、いつも思い出すんだよね。あの時に辞めていたら今の自分があったかどうかってね」。しみじみと振り返る指揮官がいた。
会見の中で「誰もができるわけではない巨人軍の監督という職につかせていただき、誰もが経験することのできない非常に貴重な経験をさせていただいた」と語っている。監督としての成績は残せなかったが、やりきった思いはある。「何か変な縁ってあるもんだよな。親父(おやじ)に感謝だよ」。父の顔を思い浮かべ、由伸監督は静かにユニホームを脱いだ。(水井 基博)