【巨人】鉄腕34歳・山口鉄が引退 育成から初の新人王&伝説の9年連続60登板

スポーツ報知
中継ぎエースとして活躍した山口鉄。今シーズン限りでの引退を決意した

 巨人の山口鉄也投手(34)が今季限りでの現役引退を決断したことが4日、分かった。育成選手として入団し巨人一筋13年。史上初の9年連続60試合登板を達成し、長年ブルペンの柱に君臨した。フル回転で原巨人の2度のリーグ3連覇に貢献も、今年は左肩痛に苦しんで1軍定着後初の1軍登板なしに終わり、野球人生にピリオドを打つ決断を下した。

 何度もチームのピンチを救ってきたレジェンド左腕が、ユニホームを脱ぐ決断を下した。山口鉄はスポーツ報知の取材に対し「1年間1軍に上がることができず、球団と話し合って決めました。今年はキャンプで肩をけがして、治って、また痛くなってというのを4回くらい繰り返してきた。自分でも、もう限界かなと思いました」と明かした。

 横浜商卒業後、高いレベルを目指して渡米した。ダイヤモンドバックス傘下のルーキーリーグで月収10万円。3年間、食費を節約するためにハンバーガーをかじりながら腕を磨いた。05年、不合格なら野球をやめる覚悟で巨人のテストを受験。同年の育成ドラフトで入団し、年俸240万円、背番号「102」でプロ野球人生が幕を開けた。

 2年目の07年4月に支配下登録され背番号「99」に昇格。左の中継ぎとして32試合に登板すると、尊敬する工藤公康の背番号「47」を継承した翌08年に67登板11勝2敗、防御率2・32で育成出身では史上初の新人王。越智大祐との「風神雷神」コンビでブルペンを支えた。12年は72登板で驚異の防御率0・84。マシソン、西村との「勝利の方程式」は鉄壁だった。16年まで9年連続60登板は、前人未到の大記録だった。

 昨年は18登板に終わり、今季はここまで1軍登板なし。2軍で18登板も、左肩の状態は一進一退だった。それでも、原巨人で2度のリーグ3連覇、2度の日本一に貢献した功績は計り知れない。「一番印象に残っているのはどの試合とかではなく、日本一になった年の銀座パレードですね。テレビでしか見たことがなかったですが、上からファンの方に手を振ることができた。あの光景はすごく覚えています」と振り返った。

 通算642登板で防御率2・34。15年には史上初の250ホールドを達成し、現在は日本ハム・宮西に次ぐ歴代2位の273ホールド。最優秀中継ぎ投手賞のタイトルは3度獲得した。日本代表としてWBCで世界一も経験した。11月で35歳になる。「できればもう一度1軍で投げられれば良かったですが、悔いはありません」。球史に残る大投手。完全燃焼して現役生活に別れを告げる。

 ◆山口 鉄也(やまぐち・てつや)1983年11月11日、横浜市生まれ。34歳。横浜商から米大リーグ・Dバックスのルーキーリーグを経て、05年の育成ドラフト1巡目で巨人入団。07年4月に支配下登録され、08年にセ新人王。09、13年WBC日本代表。最優秀中継ぎ投手のタイトルを3度獲得。184センチ、88キロ。左投左打。既婚。年俸2億2400万円。

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