【巨人】メルセデスでも超攻撃布陣でもマツダ13連敗

◆広島9―3巨人(10日・マツダスタジアム)
巨人はローテを組み替え無敗のメルセデスを先発に立てたが、鬼門マツダでまた完敗した。左腕は広島戦に初先発も6回11安打5失点で来日初黒星。チームはマツダの同カードで今季9戦全敗、昨季から13連敗となった。打線は4回に岡本が21号ソロ、7回に亀井がフェンス直撃2点二塁打を放つなど反撃したが、及ばず。巨人は4年連続での広島戦の負け越しが決定。ゲーム差は今季最大の12・5差に広がった。
勝利の赤いジェット風船が舞う。歓喜に沸くマツダのスタンドをメルセデスは三塁ベンチからぼう然と見つめた。広島ナインが喜ぶ様子をしばらく目に焼きつけ、来日5試合目で初黒星の現実を受け入れた。
「調子はいつもと同じ感じでした。当然、投げる前からいい打線というのは知っていましたが、やはりイメージ通りの打線でした。いつも通り制球はできていたと思いますが、ボール球をうまく使い切れなかったのは一つの反省材料です」
初回2死一塁、鈴木に先制2ランを浴びた。1ボールから内角145キロ速球を左翼後方に運ばれ「内角に張っていたのかなと思います」。4回は4連打で2失点、6回も3連打で追加点を奪われ6回11安打5失点。これまで1イニング3安打以上がなかった左腕が、カープの勢いにのまれた。
左腕のメルセデスは試合前の時点で対右の被打率が1割3分、対左が2割5分。デビューから25イニング連続無失点など快投を続けてきた中で、左打者に打たれていた。右打者には内角にカット気味に食い込む140キロ台後半の速球という大きな武器がある。初対戦のカープはそこに着目してきた。
対左投手打率3割1分5厘の右のバティスタがベンチで、対左投手打率2割2分9厘の松山が先発。左打者5人が並んだ。丸、田中らが踏み込んで逆方向への意識で打ってきた。被安打11のうち9本が左打者。山口俊と登板順を入れ替えて中7日でメルセデスにカード初戦を託した由伸監督は「内容が悪かった気はしない。ここの球場でどうしても打たれているので何とかしないと」と振り返った。
メルセデスはドミニカ共和国のカープアカデミー出身。真っ赤な練習着で猛練習した経験があり、同アカデミー出身の広島・バティスタとは面識がある。「それは特に意識しない」と私情を封印して臨んだが、強力打線の怖さを痛感した。
巨人は7回からマギーが今季初めて二塁に入り、三塁岡本、一塁阿部との超攻撃的布陣を敷いた。マギーは普段の練習でも二塁でノックを受け、準備はできていた。「追わないといけないところなので。チーム事情もある」という由伸監督が勝負手を打った。
8回はジャクソンから無死満塁の好機を作ったが、代わった今村の前に阿部と陽が連続三振で無得点。あと一本が出なかった。
リリーフの野上、中川も2失点ずつで投手陣は計17被安打9失点。チームは昨季途中からマツダで13連敗となった。(片岡 優帆)