昇段の出口若武三段、プロで藤井聡太七段に雪辱だ
スポーツ報知

将棋の棋士養成機関「奨励会」の第64回三段リーグ最終節が3日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、通算14勝4敗の出口若武(わかむ)三段(23)と同13勝5敗の黒田堯之(たかゆき)三段(22)が四段昇段を果たした。4月1日付で正式に昇段し、プロ棋士となる。
最終節で連敗を喫しながら昇段を果たした出口三段は「将棋に負けてうれしいという気持ちにはなかなかなれないですけど、昇段できてよかったと思います」と思いを語った。
三段にも参加資格のある昨年の新人王戦では5連勝して決勝3番勝負に進出。2連敗で敗れたものの、大舞台で藤井聡太七段(16)と戦った。「自分の弱いところが浮かび上がった。反省が多く、(今回の昇段への)影響はありました」。悔しい気持ちと経験値を力に変えた。
黒田三段は「単純で申し訳ないですけど…本当にうれしいです」と万感の表情。松山市在住のため、夜行フェリーで大阪の関西将棋会館に通い続けた苦労を結実させた。「一局でも多く勝てる棋士になりたいです」
ともに13年4月から三段リーグに参戦し、6年間の戦いの末に夢を実現させた。
◆三段リーグ 三段全員が参戦し、半年間にわたって各18局を戦うリーグ。毎期30人以上いる三段(今期は33人)が争い、上位2人のみが四段(棋士)に昇段する。次点(3位)を2度獲得した者も昇段の権利を得る。三段以下の奨励会員は修業の身で、対局による報酬はない。四段に昇段して初めてプロとして全棋戦に参戦し、収入を得られる。三段は26歳までに四段昇段を果たさないと、年齢制限のため退会を余儀なくされる。1987年度に三段リーグの制度がスタートして以降、初参戦で昇段を果たしたのは藤井聡太七段ら8人のみ。