【北大阪】大阪桐蔭、9回2死無走者からミラクル逆転

スポーツ報知
9回2死満塁、大阪桐蔭・山田の適時打で生還して喜びを爆発させる(右から)二塁走者・藤原、三塁走者・中川(左は履正社・浜内=カメラ・谷口 健二)

◆第100回全国高校野球選手権記念北大阪大会 ▽準決勝 大阪桐蔭6―4履正社(27日・シティ信金)

 史上初となる2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭が、9回2死無走者からのミラクル逆転勝ちで、2年連続出場に王手をかけた。3―1の8回に3点を奪われて逆転されたが、9回に4連続四球で追い付き、山田健太内野手(3年)が決勝の2点適時打。浜内太陽(3年)を公式戦初先発させた履正社の奇策をはね返し、大阪大会の公式戦連勝を36とした。29日の決勝で大院大高に勝てば、浪商(大体大浪商)とPL学園の最多記録に並ぶ、史上3校目の大阪大会5連続Vだ。

 恐ろしいまでの底力だ。押し出し四球で同点に追い付いた直後の9回2死満塁、大阪桐蔭・山田が勝ち越しの2点適時打を左前にはじき返した。「打てる自信があった。自分を信じた」。ベンチに向かって右手を突き上げた。その裏を柿木蓮(3年)が3人で抑え、2年連続出場に王手をかけた。

 3―4で迎えた9回無死一塁。石川瑞貴内野手(3年)のバントが三塁への小飛球で併殺になった瞬間、王者の夏は終わった、かに見えた。西谷浩一監督(48)も「厳しかった。棺おけに両足が入るぐらいのところまできた」と、府内での公式戦連勝が35で止まることを覚悟した。

 絶体絶命の状況で、主将の中川卓也内野手(3年)がベンチで声を張り上げた。「ここで負けるようなチームをつくってきていない。こっからでも勝てる!」。2死一塁から9球粘って四球で出塁。「一番緊張した打席」と藤原恭大外野手、根尾昂内野手(ともに3年)の今秋ドラフト1位候補コンビも四球で歩き、山田の決勝打につなげた。

 バントを失敗した石川は試合後、泣いていた。藤原が「正直、負けるかも、と思った」という状況でも、プロ注目の打者が並ぶ打線は自分で決めようとはしなかった。「冷静になれたのは、経験があるから」。根尾は2時間52分の激闘を終えても涼しい顔だった。前チームから主力を務め、修羅場をくぐり抜けてきた猛者たちが、ミラクル逆転劇を演出した。

 先発が公式戦初登板の浜内という履正社の奇策にはまり、5回まで4併殺。「長く(球を)持って間合いを外して、データがないということで、ちょっと焦った」と、西谷監督も冷や汗を認める。3―1の8回無死満塁の好機を逃した直後に逆転され、根尾は公式戦初の敗戦投手になるところだった。

 あと1勝すれば、17年春から大阪大会5連覇。「怪童」尾崎行雄(元東映)らを擁した1960年夏~61年秋の浪商と、桑田、清原の「KKコンビ」がいた84年夏~85年秋のPL学園に並ぶ最多記録となる。「相手よりも強くぶつかって、粘って勝ちたい」と根尾。地獄を味わいかけたタレント軍団に、もう恐れるものは何もない。(伊井 亮一)

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