近大付・大石、名門復活へ“夏初戦”の呪縛解いた

各地の注目選手紹介。近大付(南大阪)のプロ注目左腕・大石晨慈(しんじ、3年)は、中学時代に侍ジャパンU―15代表に選ばれた経歴の持ち主。チームを10年ぶりの甲子園に導けるか。
やっと勝てた。“夏初戦”の呪縛を解き放った。8日の南大阪大会1回戦。近大付の最速141キロ左腕・大石は狭山打線に9安打を浴びながらも、スライダーを武器に12三振を奪い、1失点で完投した。「何が何でも勝つように、負けない投球をした」。最後の夏に懸けるエースは決意を胸に、試合前日に五厘刈りにした。1年夏には同校20年ぶりの初戦敗退。昨夏も初戦に敗れ、2年連続で屈辱を味わった。3度目の正直で、自身の夏初白星を挙げた。
中学時代は侍ジャパンU―15代表として日の丸を背負った逸材。1990年センバツで優勝した名門の背番号1を、1年夏から任されたが、なかなか結果が出せなかった。昨秋は近畿大会準々決勝で大阪桐蔭に1―10で7回コールド負け。15年ぶりのセンバツ出場を逃した。今春の大阪大会はまさかの初戦敗退。大石の温存策が裏目に出て、登板することなく終えた。
それでも「夏へ向けて長い時間、準備できると考えました」とプラス思考に転じた。常に打者を立たせてブルペン投球。実戦感覚を重視して鍛錬に取り組んだ。
甲子園で再会を願う友がいる。今秋ドラフト候補の天理・太田椋内野手と、高崎健康福祉大高崎の山下航汰外野手(ともに3年)だ。ともに中学時代、大阪・羽曳野ボーイズ3年時に中学硬式日本一を競うジャイアンツカップを制覇したチームメート。昨年、2人は甲子園に初出場した。今でも互いに連絡を取り合う。「甲子園で、やろうと言っています。再会して勝負したい」と夢の対戦を熱望している。
2回戦は新鋭の府立校・大塚と対戦する。「まだ実力の半分も出せていない。次は120%の力を出したい」と大石。その左腕で近大付を、10年ぶりの夏の聖地へと導く。(牟禮 聡志)
◆大石 晨慈(おおいし・しんじ)2000年7月30日、大阪・藤井寺市生まれ。17歳。小3から軟式の「藤の里アトムズ」で野球を始める。中学時代は羽曳野ボーイズに所属。3年時にジャイアンツカップで優勝し、侍ジャパンU―15代表に選出。近大付では1年夏から背番号1。球種はスライダー、カーブ、チェンジアップ。家族は両親と弟2人。178センチ、86キロ。左投左打。