【2007年】白鵬が初受賞“白鵬時代”へ年6場所V誓う

クラッカーを鳴らし報知年間最優秀力士賞受賞を喜ぶ横綱・白鵬 クラッカーを鳴らし報知年間最優秀力士賞受賞を喜ぶ横綱・白鵬
 報知新聞社制定「平成19年(2007年)第50回報知年間最優秀力士賞」が27日、横綱・白鵬(22)=宮城野=に決定した。東京・丸の内のクラブ関東で選考委員会が開かれ、満場一致で初受賞となった。優勝5回の若き横綱は、来年中に10回目の優勝を飾り、“白鵬時代”を築くと誓った。表彰式は来年1月13日、初場所(両国国技館)初日の土俵で行われる。
◆綱取り、結婚、長女誕生 「最高の1年でした」

 新時代の到来を予感させる初受賞だ。「認めてもらえて、うれしく思います。今年は一言で言えないくらい最高の一年でした」白鵬の表情には充実感が漂っていた。節目の50回目を迎えた年間最優秀力士賞。大鵬、千代の富士、北の湖、貴乃花といった大横綱が手にした輝かしい賞に、22歳の若き横綱も名を刻んだ。

 破竹の勢いで2007年を駆け抜けた。初場所こそ初のカド番で迎えたが、春場所で2度目の優勝。夏場所で全勝優勝を果たし、場所後、第69代横綱に昇進した。終わってみれば、年6場所中4場所を制覇、74勝を挙げ年間最多勝も獲得。私生活でも結婚、長女誕生と、うれしいニュースが相次いだ。「家族が出来たことは大きい。落ち着きが出てきた」。ファンの声援、そして家族愛が、横綱昇進を後押ししてくれた。

 さらなる飛躍が期待される2008年。大きな野望を抱いている。「(今年達成した)年4回の優勝は最低限。それを上回りたい」年5場所、そして2005年の朝青龍以来となる年6場所完全制覇も視野に入れている。九州場所までに通算5回の優勝。来年、優勝5回なら、区切りのV10となるだけに「それも目標ですので頑張ります」と言葉に力を込めた。

 夢の実現へ壁となるのが、先輩横綱・朝青龍の存在だ。今年4場所制覇も、連覇した秋場所、九州場所は朝青龍が出場停止処分で不在。九州場所では12勝3敗と、横綱としては不満の残る成績での優勝だったため日本相撲協会・北の湖理事長(元横綱)が「朝青龍がいたら優勝の行方はわからなかった」と苦言を呈したほど。3場所ぶりに東西横綱対決がみられる初場所は、真価が問われる。

 「実績ではまだ並んでいませんが、負けたくない」朝青龍不在の土俵を守り抜いたというプライドがある。望んでいるのは初場所千秋楽での全勝対決。「大一番? もちろん勝ちます」勝負の2008年、朝青龍に引導を渡し、“白鵬時代”をスタートさせる。(斎藤成俊)

 ◆白鵬翔(はくほう・しょう) 本名・ムンフバト・ダヴァジャルガル。1985年3月11日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。22歳。宮城野部屋。2000年10月に来日し、01年春場所で初土俵。04年夏、新入幕。06年春場所後に大関昇進。07年夏場所後に第69代横綱に昇進。優勝5回。殊勲賞3回、敢闘賞1回、技能賞2回。金星1。192センチ、151キロ。得意は右四つ、投げ。家族は紗代子夫人(23)と長女・愛美羽(あみう)ちゃん(7か月)。

 ◆選考経過

 白鵬の初受賞は満場一致で決まった。年間最多の74勝は、63勝で2位の大関・琴光喜を大きく引き離した。有馬委員が「この数字は動かしようがない」と絶賛すれば、安西委員が「優勝4回は立派で評価したい」と後を押した。小松崎委員も「成績から見ても文句なしです」と賛辞を贈った。一方で、白鵬に飛躍してほしいからこそ、厳しい声も上がった。佐田の山委員は「相撲がドタバタしている。もっと落ち着いて取ってもらいたい」と注文をつけ、その上で安西委員は「いずれ、朝青龍のような豪快な技が出てくると思う」とさらなる期待をかけた。

 選考会では、朝青龍の不祥事についても意見が交わされた。「初心に戻って精進してほしい」と有馬委員。佐田の山委員も「礼儀をきちっとしてもらいたい」と苦言。東西両横綱による白熱した優勝争いを委員はもちろん、ファンも期待している。

 ◇選考委員 有馬朗人・日本科学技術振興財団会長(武蔵学園学園長)、安西邦夫・東京ガス相談役、佐田の山晋松・日本相撲協会元理事長(第50代横綱)、小松崎和夫・報知新聞社代表取締役社長、井上安正・報知新聞社専務取締役、羽賀求・報知新聞社編集局長。

 ◇副賞 表彰式では黄金の表彰状と副賞として賞金100万円、キヤノンマーケティングジャパンより「キヤノン デジタルビデオカメラ iVIS HR10」が贈られる。

◆白鵬の成績

場所 成績
西大関 10勝5敗
西大関◎13勝2敗
東大関◎15戦全勝
名古屋 西横綱 11勝4敗
西横綱◎13勝2敗
九州 東横綱◎12勝3敗

※◎は優勝。

◆年間成績

順位 力士名 所属 成績 勝率
1 白鵬 宮城野 74勝16敗 .822
2 琴光喜 佐渡ケ嶽 63勝27敗 .700
3 千代大海 九重 56勝33敗1休 .622
4 安馬 伊勢ケ浜 53勝37敗 .589
5 朝青龍 高砂 51勝9敗30休 .567

※休場は負けとして計算。

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