【2006年】朝青龍が5年連続受賞 狙うは「35回優勝」

文句なしに5年連続5回目の受賞となった朝青龍。目指すは優勝回数記録の更新だ 文句なしに5年連続5回目の受賞となった朝青龍。目指すは優勝回数記録の更新だ
 報知新聞社制定「平成18年(2006年)第49回報知年間最優秀力士賞」が26日、横綱・朝青龍(26)=高砂=に決定した。東京・丸の内のクラブ関東で選考委員会が開かれ、満場一致で5年連続5回目の受賞となった。5年連続の最優秀力士賞は、横綱・千代の富士に続く史上2人目の偉業。表彰式は来年1月7日、初場所(両国国技館)初日の土俵で行われる。
◆4場所V文句なし

 大鵬、北の湖、そして貴乃花。幾多の大横綱がなし得なかった5年連続の栄光を、朝青龍が達成した。「うれしいですね。一生懸命やったおかげです」5年連続は85~89年の横綱・千代の富士に続く史上2人目の偉業。数々の記録を打ち破った最強横綱に、また一つ、大きな勲章が加わった。

 昨年は7連覇、年間最多の84勝と史上初の快挙を達成。今年も3場所連続を含む4度の優勝。さらに大鵬、北の湖に続く5年連続の年間最多勝をも獲得し、最強横綱の形容詞に磨きをかけた。初場所には大台となるV20の期待がかかるが、朝青龍の視線はさらに途方もない先を見すえていた。

 「35回は行きたいね。連勝記録にも挑戦したい。今、自分は達成できるチャンスがある。そういう立場にいる以上は(記録を)目指したい。やるときはやります」

 優勝回数の最高は言わずと知れた横綱・大鵬の32回。連勝は双葉山の69連勝。大相撲の歴史にさんぜんと輝く金字塔への挑戦に熱い闘志を告白したのだ。

 今年を「雨や嵐のときもあったし、よく晴れた日もあった」と振り返る。7連覇を達成した直後の初場所では“燃え尽き症候群”に陥った。春場所は復活Vを決めたが、夏場所に大きな落とし穴が待っていた。右ひじじん帯を損傷し、3日目から途中休場。「もうダメかなと落ち込んだし、自信がなくなった」と告白する。

 どん底に落とされたとき、気づいたのがチャレンジャー精神だった。「自分に勝たなきゃと思った。朝青龍はこんなもんじゃないだろ、と言い聞かせた」。ライバルは自分自身と言い切る。医師からは全治2か月と診断され、出場へストップがかかった名古屋場所への強行出場は、自分への挑戦だった。そして勝った。常に自ら課題を掲げ挑戦する―その繰り返しが19度の優勝につながった。今年9月に26歳になった。「まだ若いよ」その笑顔にV35への確信が見えた。(福留崇広)

 ◆朝青龍明徳(あさしょうりゅう・あきのり) 本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ。1980年9月27日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。26歳。高砂部屋。97年に来日し、高知・明徳義塾高に相撲留学。99年初場所、初土俵。2000年秋場所、新十両。01年初場所、新入幕。02年秋場所、大関昇進。同年九州場所、14勝1敗で初優勝。翌03年初場所も14勝1敗で連続優勝し、同年春場所に史上最速の所要25場所で横綱昇進。優勝19回。得意はもろ差し、寄り、投げ。家族は妻・タミルさん(26)、長女・イチンホルロちゃん(3つ)、長男・ジャミアンドルジ君(1つ)。184センチ、148キロ。

 ◆選考経過

 今年もまた、議論の余地なし。「朝青龍以外に考えられない。けいこ不足と言われながら、終わってみれば…だからね」と安西委員。夏場所の休場はあったものの、年間4場所優勝、5年連続最多勝。「休場したときはもしやと思ったが、やはり圧倒的だった」と有馬委員。「休んだ後も優勝するというのは、まさに勝負の鬼」と佐田の山委員も賛辞を並べた。

 しかし、依然として対抗馬が出てこない現状には、各委員とも欲求不満がたまっている様子。「白鵬が横綱に上がっていたら、また違っていたかも」と羽賀委員。確かに白鵬が横綱に昇進するか、九州場所に出場して年間最多勝を獲得していれば議論の余地はあった。それでも、小松崎委員は「もし白鵬が勝ち星で上回っていたとしても、優勝4回の重みで朝青龍になるだろう。ある意味(白鵬が)出場して取れなかったら(ライバル不在は)もっと深刻だ」と危惧(きぐ)する。来年は、新勢力の奮起が、今年以上に要求されることになる。(直)

 ◇選考委員 有馬朗人・日本科学技術振興財団会長(武蔵学園学園長)、安西邦夫・東京ガス取締役相談役、佐田の山晋松・日本相撲協会元理事長(第50代横綱)、小松崎和夫・報知新聞社代表取締役社長、井上安正・報知新聞社専務取締役、羽賀求・報知新聞社編集局長

 ◇副賞 表彰式では、黄金の表彰状と賞金100万円、副賞としてキヤノンマーケティングジャパンよりデジタルビデオカメラ「iVIS(アイビス) DC22」が贈られる。

◆朝青龍の成績

場所 成績
東横綱 11勝4敗
東横綱◎13勝2敗
東横綱 1勝2敗12休
名古屋 東横綱◎14勝1敗
東横綱◎13勝2敗
九州 東横綱◎15戦全勝

※◎は優勝。

◆年間成績

順位 力士名 所属 成績 勝率
1 朝青龍 高砂 67勝11敗12休 .744
2 白鵬 宮城野 61勝14敗15休 .678
3 雅山 武蔵川 59勝31敗 .656
4 栃東 玉ノ井 55勝27敗8休 .611
4 琴欧洲 佐渡ケ嶽 55勝35敗 .611

※休場は負けとして計算。

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