【2005年】朝青龍が4年連続受賞 06年は70連勝だ

史上最強の横綱、朝青龍。報知年間最優秀力士に選出され笑顔で受賞を喜んだ 史上最強の横綱、朝青龍。報知年間最優秀力士に選出され笑顔で受賞を喜んだ
 報知新聞社制定「平成17年(2005年)第48回報知年間最優秀力士賞」が27日、東横綱・朝青龍(25)=高砂=に決定した。選考委員会が東京・丸の内のクラブ関東で開かれ、満場一致での授賞となった。朝青龍は4年連続4回目の受賞で、4年連続受賞は大鵬、千代の富士、貴乃花に次いで4人目。表彰式は来年1月8日、初場所(両国国技館)初日の土俵で行われる。
◆高砂親方「今年はよくやった」首相との約束も守った

 受賞を確信していた。朝青龍はニヤリとしながら、自分から聞いてきた。「今年の最優秀力士はオレでしょ?」もらえないわけがないことは、本人が一番分かっていた。師匠の高砂親方(元大関・朝潮)も「今年はよくやったんじゃないか」と横綱の責任を全うした1年を褒めた。

 7連覇、年間6場所完全制覇、年間最多84勝。いつ破られる日が来るか想像がつかない3大記録。今さら喜びのコメントというのもヤボな話だ。「いやあ、今年はもう疲れたよ。でも、やることはやったという実感があるし、小泉首相との約束(年間完全制覇)も守った。来年のことは考えずに少し休むよ」26日、横審けいこ総見で圧倒的な強さを示した直後に、家族そろってモンゴルへ一時帰国した。

 昨年は、この賞の受賞決定時に「05年の3大目標」を表明した。実現したのは年間完全制覇の達成と、男の子の誕生の2つ。達成できなかったのは、自身の連勝記録(04年初~夏の35連勝)の更新だった。春場所の大関・栃東戦で勝っていれば更新できたことが、今年の最大の悔いだ。「人間だから負けることもある。でも、相撲は負けて覚えるものだから」と記録更新はいつも頭の中にある。

 明言はしていないが、「来年の3大目標」はほぼ決まった。まず一つは、ズバリ、戦前の横綱・双葉山の69連勝(1936年1月~39年1月)への挑戦だ。日本相撲協会の財団法人80周年記念の本をめくりながら、双葉山の写真を見て「次はこの人だな」。冗談半分ではあったが、あり得ない話ではない。今年九州場所14日目の魁皇戦から数えれば、来年秋場所7日目まで負けなければ、69連勝に到達。そして前人未到の70連勝にも挑む。05年に自己記録を更新できなかっただけに、最大のテーマとなるのは間違いない。

 2つ目は二男の誕生。自身の兄弟も格闘家であるように、格闘兄弟を育てるのが夢。かわいがっているプロボクシングの亀田3兄弟が来た時に「やっぱりこういう兄弟がいいな」と話した。最後は今年同様、品格問題などのトラブルなく1年間を終えることだ。「今年は何もなかったでしょ? 何かあるとすぐに大きく書かれるからなあ」と笑う。強く、品行方正な横綱へ。朝青龍の目指す相撲道に、まだ終わりは見えない。(甲斐毅彦)

 ◆朝青龍明徳(あさしょうりゅう・あきのり) 本名・ドルゴルスレン・ダグワドルジ。1980年9月27日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。25歳。高砂部屋。97年に来日し、高知・明徳義塾高校に相撲留学。99年初場所、初土俵。2000年秋場所、新十両。01年初場所、新入幕。02年名古屋場所後に大関昇進。同年九州場所、14勝1敗で初優勝。03年初場所後、史上最速の所要25場所で横綱昇進。優勝15回。得意はもろ差し、寄り、投げ。家族は妻・タミルさん(25)、長女・イチンホルロちゃん(2歳8か月)、長男・ジャミアンドルジ君(2か月)。185センチ、143キロ。

 ◆選考経過

 ここまでダントツの成績なら異論が出るはずがない。朝青龍の受賞は審議するまでもなかった。伏見委員が「審議のしようがないね。段違いだ。(朝青龍を)選ばなきゃおかしい」と口火を切ると、全委員が一様にうなずいた。  各委員は来年、朝青龍の対抗馬が育つことを熱望した。小松崎委員が「琴欧州は(春場所の)小結で負け越してから強くなりましたね」と話すと、佐田の山委員が同調し「いい成績ですよ。相撲内容もだんだんよくなってきた。来年には横綱になっているでしょう」と期待を寄せた。

 昨年の年間勝利ベスト10は3人が外国出身力士だったが、今年は倍の6人。元文部(現文部科学)大臣の有馬委員は「日本の若者に燃えるような気持ちがない。小中校生は学力以上に体力が低下していることははっきりデータに出ている」と指摘した。少子化が進む日本の社会情勢の中で、さらに子供たちの相撲への関心は薄れている。実力を伴う日本人の人気力士が台頭する以外、厳しい現状は打開できそうにない。(毅)

 ◇選考委員 有馬朗人・前参院議員、安西邦夫・東京ガス会長、佐田の山晋松・日本相撲協会元理事長(第50代横綱)、小松崎和夫・報知新聞社代表取締役社長、井上安正・報知新聞社専務取締役、伏見勝・報知新聞社最高顧問、羽賀求・報知新聞社編集局長

◆朝青龍の成績

場所 成績
東横綱◎15勝0敗
東横綱◎14勝1敗
東横綱◎15勝0敗
名古屋 東横綱◎13勝2敗
東横綱◎13勝2敗
九州 東横綱◎14勝1敗

※◎は優勝。

◆年間成績

順位 力士名 所属 成績 勝率
1 朝青龍 高砂 84勝6敗 .933
2 琴欧州 佐渡ケ嶽 59勝31敗 .656
3 栃東 玉ノ井 54勝25敗11休 .600
4 琴光喜 佐渡ケ嶽 53勝37敗 .589
5 白鵬 宮城野 52勝32敗6休 .577

※休場は負けとして計算。

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