「プロに入って、スポーツ賞というのはもらったことがない。初めてなので、うれしいです」。5月の夏場所で幕内初V(12勝3敗)を飾り、トランプ米大統領から大統領杯を受け取った25歳。「世界のアサノヤマ」として一躍時の人となった。
秋場所では、横綱・鶴竜(陸奥)を破って自身初金星。10勝を挙げ、九州場所での新三役を射止めた。新小結で臨んだ九州も11勝で、優勝次点。右を差し、左上手を取って攻める盤石の相撲は、横綱・白鵬(宮城野)も太鼓判を押す。来年初場所の成績次第では、大関取りも見えて来る。今や角界の顔となりつつある、四つ相撲の代表格だ。
各界の名だたるアスリートが受賞者として顔を並べる今回。「プロ野球選手やラグビーの選手もいるんですよね。同じ舞台に立てると思うと、うれしいです」と喜びを表現。一方で、「周りに報告することはしません。自分からは、もっと上の番付にいって報告したいので」。その言葉には、更なる高みを目指す覚悟がうかがえる。
飛躍を遂げた2019年から、大関、横綱昇進を目指す2020年へ。「来年は、大事な年になってくるけど焦らずに。先の事は見ずに、1場所ずつやっていけたら。今年より、充実した1年にしていきたい」と抱負を語る。世代交代の波が押し寄せる角界で、大関・貴景勝(千賀ノ浦)らと土俵を盛り上げる。勢いに乗る大器が、大相撲の新時代をリードする。
◆朝乃山 英樹(あさのやま・ひでき)本名・石橋広暉。1994年3月1日、富山市生まれ。25歳。小4から相撲を始め富山商から近大に進学。2016年春場所、前年5月創設の三段目付け出し第1号で高砂部屋から初土俵を踏み、2019年夏場所で幕内初優勝。殊勲賞2、敢闘賞3、技能賞1。下の名は富山商時代の恩師、浦山英樹氏(故人)にちなんだ。188センチ、171キロ。得意は右四つ、寄り。