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ゴールデンスピリット賞
2014年ゴールデンスピリット賞
第16回受賞者(2014年) 西武・栗山巧
2014年11月26日6時0分 スポーツ報知
プロ野球人の社会貢献活動を表彰する報知新聞社制定「第16回ゴールデンスピリット賞」を受賞した西武・栗山巧外野手(31)が11月25日、東京・虎ノ門のホテルオークラ東京で行われた表彰式に出席した。知的障害児や小児がん患者を球場に招待し、東日本大震災の復興支援にも尽力。2006年から始まった幅広い活動について「野球を辞めても、続けていきたい」とミスター・ライオンズの自覚を示した。
グラウンドで見せる勝負師の顔とは、ひと味違った。ステージに上がった栗山は「素晴らしい賞を頂いて、緊張が取れない感じです。子供たちをサポートすることで、少しでも希望、夢を持ってもらえたら」と優しい笑みを浮かべた。
神戸市の小学5年生だった95年に阪神大震災で被災。多くの助けを得てプロ入りし、「野球に感謝したい」との思いを強くした。06年から所沢市内の知的障害児らを球場に招待。東日本大震災の復興支援では、ファンと合わせた寄付総額は900万円に及ぶ。今年から小児がん患者もサポート。被災地の岩手・陸前高田市の中学生・松野将太君(13)、小児がんで治療を続けてきた所沢市の高校生・三橋侑司君(17)の感謝の手紙が読まれると、目頭を熱くした。
憧れのミスターには背中を押された。選考委員の巨人・長嶋茂雄終身名誉監督と初対面。「何年、活動を続けているの」と問われ、「以前から子供たちを球場に招待して、ここ2、3年はバージョンアップしています」と緊張気味に答えた。「スーツの着こなしが、格好いい」と存在の大きさに魅せられた。
栗山もまた、ミスター・ライオンズの道を歩む。式に出席した西武・飯田球団専務は「こういう活動でも先駆者であり、チームの顔ですから。誇らしい」と主将を称賛。「ライオンズにとどまらず、世の中に広めてほしい」と全面的なバックアップを約束した。
選手会長時代の12年には、自ら提唱して「ライオンズこども基金」を設立。背番号1は「チームでやっている。いろんな選手にもやってほしい。次の目標ですね」と活動の輪を広げる考えを示した。副賞の200万円は、「国境なき子どもたち」と「がんの子どもを守る会」に寄付。「阿部雄二賞」の100万円も来季の社会貢献活動の資金に充てる。「これから野球を辞めても、できる限り続けていきたい」。栗山のゴールデンスピリットも、永久に不滅である。(山崎 智)
◆栗山 巧(くりやま・たくみ)1983年9月3日、神戸市生まれ。31歳。育英高で00年夏の甲子園4強。01年ドラフト4巡目で西武入団。巧打の外野手として、08年にリーグ最多安打で日本一に貢献。08、10、11年にベストナイン、10年にゴールデン・グラブ賞。通算1217試合出場、打率2割9分2厘、64本塁打、509打点。177センチ、85キロ。右投左打。既婚。年俸2億円。
◆選考経過
毎年、社会貢献活動に対する野球界関係者の意識も高まっている。活動が多岐にわたるようになった今年、テーマは子供たちに対する活動と実績年数となった。
平尾昌晃委員は小児がんの啓発活動や児童養護施設に対する活動に注目した。「今年の特徴として、お子さまに対する貢献をしている方が増えた。候補者の中にも6人、いらっしゃった。内海選手もランドセルを寄付し、栗山選手も31歳という若さで既に9年間も活動しているのは素晴らしい」と評価した。
熊﨑勝彦委員は「候補者の皆さんの活動は素晴らしい。どれがいい、悪いというものはないし、一つに選ぶのは難しい」と、コミッショナーに就任し、初めて選考委員となり甲乙つけがたいと心境を吐露した。
各委員が途中、6人まで候補者を絞った時点で、長嶋茂雄委員の文書が読み上げられ、内海、今江、栗山の活動を評価し、「活動を継続してきた期間、対象の広がりなどを勘案しますと栗山選手が適任ではないか」と小児がんだけでなく、知的障害児や身体不自由児との触れ合いや「国境なき子どもたち」への寄付を行っていることを高く評価した。
最終的には満場一致で栗山の受賞が決定。長尾立子委員は「長期間という点では杉内選手も長く貢献されていますが、この賞を視野を広げて、という観点でみても栗山さんに賛成です」と話した。佐山和夫委員も「今江さん、稲葉さん同様、栗山さんの継続性も非常に目立ちました」とうなずいた。「本人が阪神大震災の被災経験もあって、それをきっかけに東日本大震災への寄付も行っている」と早川正委員が締めるなど、各委員とも今後の活動継続を心から願っていた。
◇選考委員(敬称略・順不同) 熊崎勝彦(プロ野球コミッショナー)、長嶋茂雄(読売巨人軍終身名誉監督)、佐山和夫(ノンフィクション作家)、長尾立子(全国社会福祉協議会名誉会長)、平尾昌晃(歌手、作曲家)、早川正(報知新聞社代表取締役社長)
◆ゴールデンスピリット賞 日本のプロ野球球団に所属する人の中から、積極的に社会貢献活動を続けている人を表彰する。毎年1回選考委員会(委員名別掲)を開いて、球団推薦と選考委員推薦で選ばれた候補者から1人を選定する。欧米のスポーツ界では社会貢献活動が高く評価され、中でも米大リーグの「ロベルト・クレメンテ賞」が有名で、球界での最高の賞として大リーガーの憧れの的になっている。日本では試合での活躍を基準にした賞がほとんどで、球場外の功績を評価する表彰制度は初めて。いわば「球場外のMVP」。受賞者にはゴールデントロフィー(東京芸術大学名誉教授・絹谷幸二氏作製のブロンズ像)と阿部雄二賞(100万円)が贈られる。また受賞者が指定する団体、施設などに報知新聞社が200万円を寄贈する。
◆阿部雄二賞 2001年4月9日、本賞を第1回から協賛している株式会社サァラ麻布の代表取締役社長・阿部雄二氏が逝去。同氏の遺志として3000万円が報知新聞社に寄贈された。報知新聞社はその遺志を尊重し、長く後世に伝えるため「阿部雄二賞」を創設した。
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