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表彰
ゴールデンスピリット賞
2002年ゴールデンスピリット賞
第4回受賞者(2002年) ヤクルト・飯田哲也
2002年11月24日6時0分 スポーツ報知
日本のプロ野球人の社会貢献活動を表彰する報知新聞社制定の「ゴールデンスピリット賞」の表彰式が22日、東京・虎ノ門のホテルオークラで行われた。第4回を迎えた今回の受賞者は、神宮球場の外野席に少年野球チームの選手を9年間にわたって招待しているヤクルト・飯田哲也外野手(34)。同選手には、伏見勝・報知新聞社社長からトロフィーが贈られた。なお、副賞200万円と阿部雄二賞の100万円の中から200万円が、同選手から報知社会福祉事業団を通じて施設、団体などに寄贈される。
味わったことのない緊張感が、顔をこわばらせていた。手のひらは汗でじっとりとしている。「こんなにすごい人たちに囲まれるなんて…」飯田は思わず声を上ずらせた。壇上では長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督をはじめ、川島コミッショナー、松井が祝福してくれた。「やってて良かった。趣旨を分かってくれて、すごくうれしい」ゴールデントロフィーを抱き、自分の信念が間違いでなかったと確信した。
恩師の言葉が背中を押してくれた。千葉・拓大紅陵高からヤクルト入りが決まったときに、小枝守監督が贈ってくれた言葉が支えになっている。「子供に夢を、大人に感動を与えるプレーヤーになりなさい」この一言を胸にボールを追った。93年オフ。小学2年の時、後楽園球場でプロ野球の試合を初めて生で見た喜び、巨人・王貞治(現ダイエー監督)の一本足打法を見た興奮を少年たちに伝えようと「飯田シート」の設置を思いついた。
94年から今季までの9年間。神宮球場に招待した少年選手は、1万7000人を超える。「自分の一番近いところで見てもらいたいから」守備位置のセンター左後方、バックスクリーンすぐ右の外野指定席最前列で応援してくれる子供の声が、どれだけ力になったことか。「守っていると頑張ろうという気になります」夢を与えた子供たちから、勇気のお返しをもらった。91年から7年連続受賞したゴールデングラブ賞も、少年たちの励ましがあったから獲得できた。
ふと、顔がなごんだ。この日の会場のスクリーンに、飯田シートで観戦した調布リトルリーグの選手たちが映り、ビデオを通じて祝福のメッセージを送ってくれた。「飯田シートで野球が見られてうれしい」「ボクも飯田選手みたいにプロ野球の選手になりたいです」こんな子供たちが次々に現れることを、飯田は何より待ち望んでいる。「ぜひ1人でも多くプロの選手になってほしいですね」心からの喜びがこもっていた。
将来は野球教室を開いて、少年たちに野球の楽しさ、素晴らしさを教えたい。そのためにも、頑張らなければならない。今季は左ひざの故障もあり33試合に出場しただけ。「来年はレギュラーを取って、うしろにいる子供たちのためにも頑張りたい」夢がある限り、飯田シートはまだまだ続く。
◆飯田 哲也(いいだ・てつや) 1968年5月18日、東京都生まれ。34歳。千葉・拓大紅陵高から86年、ドラフト4位でヤクルトに捕手として入団。俊足と強肩を生かして4年目から二塁手へ転向し、91年から中堅手にコンバート。同年から7年連続ゴールデングラブ賞を受賞。92年には盗塁王、ベストナインを獲得するなど、5度のリーグ優勝に貢献した。今季は左ひざの影響で出場は33試合に終わった。通算成績は1342試合に出場し、打率2割7分3厘、44本塁打、321打点、227盗塁。173センチ、72キロ。右投右打。独身。今季推定年俸1億円。
◆飯田シート 飯田が少年野球をやっている子供たちに、生のプロ野球を楽しんでもらおうと、少年野球選手を自費で、ヤクルトの本拠地、神宮球場の外野指定席に招待しているもの。町内会、リトルリーグ、学校の部活動など15歳以下の少年野球チームが対象。1チーム18人で毎試合2チームを招待している。
◆「クレメンテ賞」受賞トーミーがメッセージ
今年の「ロベルト・クレメンテ賞」を受賞したインディアンスのジム・トーミー内野手(32)のメッセージは、壇上から日本テレビ・古市幸子アナウンサーによって読み上げられた。今季、チームの主砲として大活躍だったトーミーは、グラウンド外でも地域のソフトボールの名誉会長として20万ドル(約2400万円)を寄付するなど青少年の育成に貢献。少年病院のチャリティーイベント参加も長年続けており「気は優しくて力持ち」なプレーヤーだ。
【トーミー投手のメッセージ】飯田哲也様 「ゴールデンスピリット賞」受賞を心からお喜び申し上げます。私たちはともに、プロ野球の選手として、人々に尽くすことのできる機会に恵まれたのです。
私は飯田選手にまだお会いしていませんが、我がクリーブランド・インディアンスはスワローズと密接な関係にあります。社会貢献に関するこの度の飯田選手の受賞は、日本プロ野球界が、この面でも一流であることを示すものです。私も地域社会への貢献を喜びをもって行っていますが、私の周りはもっと社会に尽くしている人たちがたくさんいます。自分が得た幸運を社会に広めるのが私の責任だと思っています。共に頑張りましょう。おめでとうございました。ジム・トーミー
◆ジム・トーミー 1970年8月27日、米イリノイ州生まれ。32歳。96年から7年連続で30本塁打以上を放っている一塁手。今季は大活躍で、7試合連続本塁打をマークするなど打率3割4厘、52本塁打、118打点と最高の1年を過ごした。チーム生え抜きで地元ファンには絶大な人気を誇る。193センチ、109キロ。右投左打。今季年俸は800万ドル(約9億6000万円)。
◇選考委員(敬称略・順不同) 川島広守(プロ野球コミッショナー)、長嶋茂雄(東京読売巨人軍終身名誉監督、報知新聞社客員)、竹下景子(女優)、佐山和夫(作家、日本ペンクラブ会員)、伏見勝(報知新聞社社長)
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