高梨沙羅、W杯男女歴代単独最多記録55勝目「五輪の時のような感動をまた感じられた」

ジャンプ女子はドイツのオーベルストドルフで今季最終戦となる個人第15戦(HS106メートル、K点95メートル)を行い、平昌五輪銅メダルの高梨沙羅(21)=クラレ=が99メートル、102・5メートルの合計250・4点で2連勝。自身のW杯男女歴代単独最多を更新する55勝目を挙げた。W杯での連勝は、3連勝を飾った17年2月のヒンツェンバッハ(オーストリア)大会以来、1年1か月ぶり。五輪シーズンを最高の形で締めくくった。平昌五輪代表の勢藤優花(21)=北海道ハイテクAC=は自己最高の4位に入った。
沙羅には、やはり頂点が似合う。2連勝で今季を締めくくり「素直に喜べる55勝」と白い歯を見せた。1回目に99メートルで首位に立ち、2回目は102・5メートルの大ジャンプで2位のイラシュコ(オーストリア)に11・6点、飛距離にして5・8メートルの大差をつけた。昨季最終戦から個人第13戦のオスロ大会(11日)まで、14戦も白星から遠ざかったのがウソのよう。「2本ともうまくそろえられた。今季は厳しかったけど、ようやく上向いた」。個人総合3位にとどまった昨季女王は、来季へ確かな自信を取り戻した。
24日の第14戦で金字塔を打ち立てた沙羅は「まさか54勝目を今シーズン中に取れるとは思わなかった。長かった。五輪の時のような感動をまた感じられた」と万感の思いを込めた。11―12年から7季で105戦55勝。通算5割超の高い勝率を誇る。白星を積み重ねられたのは、正確な動きを正確に反復できるから。牧野講平トレーナー(38)は「動きの再現性が、ずばぬけて高い」とうなる。
昨春に米大リーグの前田健太投手(29)=ドジャース=とド軍の米アリゾナキャンプで会い「悪いコンディションでも、いかにその状態でのベストを出せるかが大事」と助言された。常に100%は出せない中で安定した結果を残すには、どうするか―。調子の波を最小限に抑える技術の必要性を感じ、向き合った。成果が平昌銅、そして最多勝だ。
「次のシーズンにつなげるためにも、良い試合で終えることができた」。今季、急成長を遂げた平昌金&個人総合優勝のルンビ(ノルウェー)と、平昌銀のアルトハウス(ドイツ)の“2強”に最終盤で一矢報いられた意味は大きい。22年北京五輪での金メダル獲得は、既に公言している。節目はクリアしても、決して現状に満足することはない。