稀勢の里、慣例破って出場可否判断保留…通常前日決断も苦悩「もう一度考えさせて」

スポーツ報知
8日の稽古後にひとり考え込む稀勢の里(カメラ・能登谷 博明)

 大相撲で6場所連続休場中の横綱・稀勢の里(31)=田子ノ浦=が10日、夏場所(13日初日・両国国技館)出場可否の判断を取組編成会議当日の11日朝まで保留した。この日は朝稽古に姿を見せず、病院で左大胸筋など古傷の診察を受けた。調整遅れで出場は現実的に厳しいが、夕方までに師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)と話し合っても、復帰に強い意欲を見せる横綱の結論は出ないまま。これまで初日休場は会議前日までに態度を明らかにしてきただけに、異例の事態だ。

 出るべきか、立ち止まるべきか。熟慮に熟慮を重ねても、稀勢の里の決意は固まらなかった。通例どおり、この日朝までに夏場所出場可否を明らかにする予定も、師匠の田子ノ浦親方に「もう一度、病院に行って考えさせてほしい」と伝え、東京・江戸川区の稽古場に姿を現さず、左大胸筋など古傷の診察を受けた。

 部屋前に早朝から約30人の報道陣が集結した。対応した同親方は「出ないつもりで稽古はしていない」と説明。そして、夕方までに師弟で約30分、電話会談し「結論は出ませんでした。本人は出たい気持ちは強いとは思いますが、明日(11日)朝にもう一度、話して決めます」と明かした。

 初日休場なら取組編成会議のある11日午前が決断のタイムリミット。これまで稀勢の里は会議前日に態度を明らかにしてきただけに、期限ギリギリの結論先延ばしは悩み抜いている証しだ。

 綱の重責を担う葛藤が見え隠れする。先月12日から春巡業に途中合流。十両との申し合いから再開するなど慎重に復帰への段階を踏んだ。「感覚としてつかめたものは大きい」と順調に土俵の感覚を取り戻していたかに見えた。だが、左大胸筋負傷などの影響からか、3日の横綱審議委員会(横審)の稽古総見では関脇・栃ノ心(春日野)ら三役以上に負け越し。以降は低調な稽古に終始し、親方衆から「自分を見失っている」など厳しい声も飛んでいた。

 昨年春場所後、皆勤がない。横審は今年の春場所後、「何場所休んでもいい」と擁護したが、「出ては休むから批判される」と万全でない復帰には否定的。横綱の7場所連続休場となれば年6場所制の1958年以降、貴乃花に並んで最長になってしまう。田子ノ浦親方は「これだけ周りから言われていますし。出るとなったら横綱ですから結果を出さないと」と心中を推し量った。既に次の出場場所に進退を懸けると明言している。一晩考え抜いた和製横綱の決断に注目が集まる。(小沼 春彦)

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