竜電、山梨県勢47年ぶり新入幕から連続勝ち越し あと8勝で通算300勝

大相撲春場所は11日、エディオンアリーナ大阪で初日を迎える。甲府市出身の西前頭9枚目・竜電(27)=高田川=が、山梨県勢47年ぶりの快挙に挑む。今場所で8勝を挙げれば、通算300勝の大台に乗るとともに、県出身力士としては1971年九州場所の元関脇・富士桜以来の、新入幕から2場所連続勝ち越しとなる。快挙がかかる竜電は10日、東大阪市内の宿舎で稽古に励んだ。「いい成績を残して、もっと(上位に)上がれれば」と活躍を誓った。
初日を目前に控え、竜電は静かに闘志を燃やしていた。この日は部屋宿舎で、すり足などで入念に汗を流し、若い衆に胸を出すなどして調整した。幕内2場所目に向け「また始まるな、という気持ちですね」と言葉に力を込めた。
新入幕だった1月の初場所は10勝と快進撃。戦後の県出身力士としては初となる新入幕場所での2桁&三賞獲得となった。こうした中で迎える今場所も快挙がかかる。戦後に誕生した県勢で幕内昇進を果たした力士は竜電も含め7人いるが、新入幕場所での勝ち越しは3人。うち、翌場所も勝ち越したのは、71年九州場所の富士桜だけだ。竜電が春場所で給金を直せば、約47年ぶり2人目となる。
しかも現在、通算292勝。8勝なら300勝の節目ともなる。「そうなんですか? 全然知らなかった」としながらも、「積み上げてきたんですね」と感慨深げだ。 「桔梗信玄餅」懸賞に燃える さらなる発奮材料もある。今場所から故郷の銘菓「桔梗信玄餅」の懸賞がかかることになったのだ。地元・山梨の後援者から毎場所前に500個の差し入れがあり、竜電もこよなく愛する菓子だ。それだけに「うれしい。勝っていっぱい(懸賞を)もらえるようにしたい」と気持ちを高めた。
初日は関脇経験もある東前頭9枚目・隠岐の海(32)=八角=、2日目は平幕上位にいたこともある西同8枚目・大栄翔(24)=追手風=と激突することになった。番付が上がれば、それだけ難敵と胸を合わせる機会も多くなる。それでも竜電は「上位経験のある方がたくさんいるが、前へ出る自分の相撲を取りきりたい。いい成績を残して、もっと(上位に)上がれれば」と頼もしく語った。
“荒れる春場所”とも言われる大阪の土俵で結果を出し、さらに番付を駆け上がる。(三須 慶太)
◆竜電 剛至(りゅうでん・ごうし)本名・渡辺裕樹(ゆうき)。1990年11月10日、甲府市生まれ。27歳。高田川部屋。柔道に打ち込んでいた竜王中時代に高田川親方に誘われ、卒業と同時に入門。2006年春、初土俵。12年九州で新十両も、右股関節を負傷。その後も度重なる故障で一時は序ノ口まで番付を落としたが、18年初に新入幕。189センチ、150キロ。得意はもろ差し、寄り。しこ名の由来は、母校の竜王中と、江戸時代の伝説の力士「雷電」から。