谷川翔、内村に勝った 史上最年少19歳V

スポーツ報知
初優勝を飾った谷川翔のつり輪の演技(カメラ・川口 浩)

◆体操 全日本個人総合選手権最終日(29日・東京体育館)

 決勝が行われ、男子は谷川翔(かける、19)=順大=が予選86・031点、決勝86・465点の合計172・496点で初優勝を飾った。1996年大会の塚原直也氏(19歳4か月)を上回る19歳2か月での史上最年少V。大会11連覇を狙った内村航平(29)=リンガーハット=は、予選5位から追い上げるも3位。国内の個人総合では08年9月の全日本学生選手権以来の敗戦となった。予選1位の白井健三(21)=日体大=は2位だった。

 2位に0・465点差を付け、始まった最後の種目、鉄棒。谷川翔は「頼む!」と祈りを込め、着地をまとめた。この日初めて両腕でガッツポーズ。豪快な開脚旋回で、トップに立った2種目めのあん馬から、「勢いに乗った」と最後まで首位を譲らなかった。「このメンバー(内村や白井)に勝ったことが考えられない。夢のよう」。大会史上最年少Vで世代交代を成し遂げ、内村に「おめでとう」と抱きしめられた。

 昨年大会は22位で今回予選は2位も、ほぼノーマークからの優勝。だが足の爪先までそろった動きは、白井が「ほれぼれする演技。とてもまねできない」と脱帽するほど。出来栄えを示すEスコア(実施点)は6種目のうち5種目で8点台後半~9点台前半の高得点を並べ、長らく世界一の美しさを誇った内村からも「正しい体操」とお墨付きを与えられた。

 17年世界選手権代表の兄・航を追いかけるように、体操を始めたのは、小学1年生の時。「爪先、膝、倒立」基本の姿勢を徹底的に叩き込まれた。「開脚では先生に泣くまで押され、爪先も(柔らかくなるように)押してもらった」。高校2年で発症した腰痛に苦しんだが、この1年間基礎から作り直し、「美しさ」を表現するための体幹を手に入れた。

 順大では、冨田洋之コーチが指導。日本の代名詞「美しい体操」を体現した04年アテネ五輪団体金メダリストも「体勢がきれいで、着地もうまい。度胸もある」とボディーバランスを高評価した。

 内村は19歳で、当時4連覇中だった冨田コーチを破り、全日本初優勝。同じ19歳で内村に勝ち、東京五輪に名乗りを上げた谷川翔。「内村選手と白井選手が僕を(これから)ライバル視してくれたらいいな」。五輪の団体総合2連覇を目指す体操ニッポンに「正しい体操」をする新星が現れた。(小林 玲花)

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